皆さんこんにちは。だいぶ春らしくなってきましたね。日本では新たな年度の始まり、何かと新しいことにトライする意欲が沸く人も多いのではないでしょうか。皆さんもHigh spiritを持ってTOEFL®テスト対策に取り組んでいきましょう。
さて今回はTOEFL iBT®テスト対策シリーズ連載第2回目です。前回から引き続き、Speakingセクションについてお話していきましょう。
Speakingってどうやって採点されるの?
それでは採点システムについて簡単に説明しましょう。パソコンに人が入っていない、というのは前回説明しましたね!以下、概要をチェックしてみてください。
1タスク(= question)につき、採点者は1人
ライティングでは機械採点も採用されていますが、スピーキングは人間採点のみです。
1受験者につき、採点者は3~6人
つまり、同一採点者が受験者1人の回答を全部採点するわけではないのです。これによって特定の採点者だけによるバイアス(偏り)を排除し、より公平な採点基準が保てるわけです。
採点者は海外在住経験豊富な人
しかも同じ国にずっと居た人(例えば日本で10年教えていた、等)ではなく、様々な国で英語を教えていたことなどが採用条件の一つでもあるので、よりいろんな英語のアクセントに対応しています。
受験者の情報は一切見られない
音声以外の情報は採点者には届かないので、先入観なしに採点してくれます。
エラーや理由の数、話した秒数等は数えていない
エラーが1つある度に減点、などといった方式でもなく、理由が2つあるから何点、といった基準もありません。秒数だけで点がつけられることもありません。そういった機械的な方式ではなく、あくまでも総合的に判断するのです。
どうでしょう?これらを知っておくと、変に緊張する必要がなくなり、余計なプレッシャーから解放されませんか?
以前教えた生徒さんは、同じグレーダーが1人で全部採点するものだと思い込んでいて、「1問目で印象悪くしちゃうと、その後の採点に影響しますよね?」と真剣に悩んでいたぐらいですから!
スピーチってどのように展開すればいいの?
前回の「宿題」として、sustained, coherent discourseは何か、という課題がありましたよね。考えていただけましたか?まず単語の意味から確認しますと、sustainedには色々な意味がありますが、TOEFLテストのSpeakingやWritingにおいては、別の単語で言い換えると「supported」という意味になります。coherentは「首尾一貫した、理路整然としている、論理的な、筋の通った」という意味です。 discourse は「会話、話法」の意味です。
これらを合わせると、どういうスピーチが求められているのか、がなんとなく見えてきましたね?つまり、「しっかりと内容のサポートがされていて、ロジカルに話が展開されている」スピーチなのです。ここでいう内容のサポートとは、自分が主張したい立場を解かりやすく、説得力を持たせるために含める要素のことを指します。場合によってはそれが個人体験について話す場合もあれば、反対意見との比較を入れてみたりする、などいろいろなやり方はありますね。しかし、もちろんそれらが論理的=ロジカルに展開されなければ、いかに沢山内容を詰め込んで話し続けたところで、支離滅裂とした内容になってしまい聞き手(採点者)にとって解かりにくくなってしまいマイナスです。
前回の連載にもあったように、スピーキング=発音&流暢さばかり強調されがちになってしまいますが、我々が思っている以上に内容、つまりtopic developmentにも採点者は注目しています。
それでは解かりやすいように例を挙げてみていきましょう。まずはこんなトピックがでたとしましょう。
Q:What is a characteristic of a good teacher? (良い先生の資質を1つ述べなさい)
“A characteristic of a good teacher is being supportive. For example, when I was a high school student in Tokyo, Japan, I belonged to the baseball club and I practiced hard every day. When I went home after practice, it was usually 9 o’clock at night. I was very tired, so I didn’t have much time to study. I was especially not very good at English. But my English teacher, Mr. Suzuki, helped me. As a result, I was able to get good grades in English and graduate. Therefore, a characteristic of a good teacher is being supportive.”
どうでしょうか?意見は解りやすいですよね。助けてくれる、協力的な先生だ、と。ただこの回答の問題点は自分の主張に対するサポートが足りないのです。supportiveと回答している割には・・・何たる皮肉(笑)。ちなみにETSの採点基準表の中には、2点レベルの基準にこういう説明があります。
“The response is connected to the task, though the number of ideas presented or the development of idea is limited. Mostly basic ideas are expressed with limited elaboration (details and support).”
回答は問題とは関連性があるが、アイディアの数もしくは展開が限られている。限定的な説明(詳細と補足)で基本的な考えしか述べられていない
やはりlimitedという言葉が気になりますよね。一番の問題点はMr. Suzukiが具体的に、どのようにsupportしてくれたのか、をもっと広げない限り、topic developmentにおいてはスコアが伸びないでしょうね。そこが採点者としては一番知りたいところなわけです。
五十峰 聖先生
桜美林大学 芸術文化学群 特任講師
ETS Authorized Propell® Facilitator
ETS TOEFL ITP® Teacher Development Workshop Facilitator
上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。
関連情報
Performance Descriptors for the TOEFL iBT® test
各セクションは0~30のスコアで評価され、そのスコアに応じて4または5段階のレベルに分けられます。このレベルはTOEFL iBT®テストにおけるCEFR levelを反映しています。
TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Speaking)
Speakingセクションの採点基準です。上記の「Performance Descriptors for the TOEFL iBT®test」と併せてご活用ください。
SpeakingはETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されており、Delivery(話し方)/Language Use(語彙の使い方)/Topic Development(トピックの展開)の大きく3つのポイントに分かれています。
TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Writing)
Writingセクションの採点基準です。上記の「Performance Descriptors for the TOEFL iBT® test」と併せてご活用ください。
Writingに関してもETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されています。
英語圏に限らず、世界の大学・大学院、その他機関で活用されています。また日本国内でも大学/大学院入試、単位認定、教員・公務員試験、国際機関の採用、自己研鑽、レベルチェック、生涯学習など活用の場は広がっています。
自宅受験TOEFL® Essentials™テスト
2021年から自宅受験型の新しいテストとしてリリースされました。約90分の試験時間、短い即答式タスクが特徴のアダプティブ方式の導入されています。公式スコアとして留学や就活などにご利用いただけます。
TOEFL ITP®テストプログラムは、学校・企業等でご実施いただける団体向けTOEFL®テストプログラムです。団体の都合に合わせて試験日、会場の設定を行うことができます。全国500以上の団体、約22万人以上の方々にご利用いただいています。