皆さんこんにちは。その後の学習はいかがですか?だいぶ暑くなってきましたね。夏になるとTOEFL iBT®テスト試験会場では様々なシチュエーションが展開されることが予想されます。よくあるのが冷房の効きすぎている教室や、冷風が直接あたる座席。私自身、ライティングセクションで「さぁ、エッセイを書こう」と思っても冷房の風が冷たすぎて手がかじかんで、思うように指が動かない、などという体験もあったくらいです。最初に席に案内された時点で、冷風があたりすぎていないか各自で確認し、もし寒すぎるようであれば試験監督に室温調整の申し出をしましょう。
さて今回はListeningについての連載です。
これは今まで指導してきた生徒から一番良く聞く質問と悩みですね。TOEFL iBT®テストでは、Listeningに限らず全てのセクションでノートテイキング、つまりメモ取りが許可されています。それをどう利用するかは受験者の皆さん次第です。ちなみに当日どのようになっているかというと
- チェックインの際に、指定の鉛筆とメモ用紙(A4サイズ3枚程度がホッチキスでとめてあるもの)を渡される
- 試験中に交換が必要な場合は、手を挙げて試験官にその旨を伝える
- 交換の際は使用済みのものを渡す
⇒これは要注意ですね。あとで回答の際にメモを使おう、と思ってもすでに渡してしまったメモ用紙に必要な情報を書き記してしまった!なんてミスを私は犯したことがあります。皆さんもそうならないように! - 試験終了後、退出の際に全てを返却する
- 試験が行われていない時間(例:説明が流れている、休憩時間など)に何か書き込んでいると不正行為と見なされてしまうので注意する
⇒これは主に「事前準備」タイプの人に多いようです。SpeakingやWritingセクションで、前もって「こういうネタでこういう展開にしよう」と書き出す方がたまにいるようです。特にSpeakingでは、自分が休憩中に周りの人が話しているのが聞こえることがあるので、その内容からなんとなく問題が推測できてしまいます。その際、聞き耳を立てるだけでは別に不正行為にはなりませんが(聞こえてしまうものはしょうがない!)、そこでメモを取ってしまうと、目の鋭い試験官の場合は厳しくチェックされるかもしれないので気をつけましょう。
結論からいうと、特に正解があるわけでもありません。人によってノートテイキングのスタイルは違いますし、情報処理のスピード、手が動くスピードも違いますので一概にこうしなくてはいけない、というのはありません。ですが、やはりこれだけは最低限抑えておきたいポイントというのはありますので、簡単に助言しておきます。
1. Topic of the lecture
これはもうそのままです。大きなカテゴリーで、単語だけでかまいません。
例:Biology – whale, Astronomy – black hole
2. Purpose
主に会話や講義の冒頭にくる情報です。会話においては、通常は学生が大学教授や職員に何か相談にくるシチュエーションが多いですから、学生は何を達成したいのかです。ただ本題に入るまでにちょっとした、直接は関係のない話が続く場合もありますので、そこはあまり無理してノートテイキングをしなくてもかまいません。講義においては、なぜそのトピックについて教授が今日話しをするのか、が重要です。来週クイズがあるからその準備のために、とか、先週行った講義の内容とは対照的な点を強調したい、とか、その分野において物議を醸し出す新しい発見があった、などですね。
3. Focus of the lecture
私はfocusという言葉を使いますが、上記①のトピックよりももっと細かい内容で、メインの議題は何か、という点です。
例:Topic: Astronomy – black hole
Focus: how rapidly it is increasing, effects on Earth
こういう感じで、black holeという大きなトピックの中において、いかに速く広がっているか、地球にどう影響があるのか、に焦点をあてているというのがわかるようにします。
4. Background
今まで、そして今のところどういう状況になっているのか。歴史的な背景やベースとなる現状、問題点についてメモを記します。
5. Key term – definition
これは重要ですね。用語を記すだけでなく、そのdefinition = 定義も書けるだけ書いてみましょう。ただ重要な用語は黒板を模した画面に表示されますので、無理して書かなくてもよいと思います。下記はリスニング画面の一例です。
6. Examples / Details
重要な用語やコンセプトを更にわかりやすく説明するために、大体の講義ではその後に具体例を持ち出すことがよくあります。⑤の時点でいまいちピンと来ない人でも、この具体例の情報をしっかり取れていれば理解度があがるでしょう。
7. Twist – another development
ここは重要です。講義では、ただ一辺倒に「この現象はこうなっているんです」とだけ説明に終始するだけではないのです(無論たまにそういうのもありますが)。ベースとなる説明を終えた後にtwist – つまり何か話に変化がでてきたり、問題点が浮上したり、新たな発見がでてきたりと、ある意味話が面白くなっていくパターンが多いですね。この流れを汲み取ってノートテイキングする事が必要です。
8. Conclusion – next action
これは後半のほうですね。結局どういう感じで終ったのか、次に何をするのか、最後まで油断せずに聞きましょう。
9. Lecturer’s tone/attitude
これはある意味人間的な部分といいますか、活字だけでは解からない場合も多いですね。特に講義においてはトピックに対して楽観的なのか悲観的なのか、なども重要なポイントですね。
例: desertification, China, spread, no hope
などとメモることができれば、教授のネガティブな憶測が汲み取れますよね。
10. Problem / solution & suggestion
これは会話でも講義でも重要な構図です。全ての問題に対して必ずしも解決策があるとは限りませんが、problemを判明させるのはSpeakingにおいても役に立つスキルです。
一生懸命ノートを取っているのですが、スコアがあがりません。
二つまとめて解答しましょう。結論からいいますと、「ノート取りすぎは危険」という事です。上手く、キレイにノートをとりなさい、というテストではありません。ましてや中学・高校の時のように取ったノートを提出して先生がチェックするわけでもありません。あくまでも必要な情報が書いてあればよいのです。またきちんと丁寧に書く必要もありません。自分が後で読み返してわかれば良いのです。
スコアが伸びない人の多くは、この「ノート取りすぎ症候群」にかかっています。日本人気質なのかどうなのかはわかりませんが、聞こえたとおりにノートを一生懸命とること自体に価値を見出してしまっている感があります。大事なのはそこではないのです。ノートを取らなくても、会話や講義の本質を理解すれば良いのです。あとは、詳細や順番など、ちょっと忘れてしまいそうな情報だけ軽く記すぐらいで良いのです。一番避けたいのは、たくさんノートを取ったのに回答の際に全然役に立たない、ということですね。本末転倒にならないように注意しましょう。
リスニングではまだまだポイントがありますので、次回の連載もノートテイキングを中心に引き続き解説していきましょう。それではまた!
皆さんこんにちは。いよいよ夏到来ですね。学生の方は夏休み、社会人の方もお盆休みなど勉強時間はいつもの時期より確保できるのではないでしょうか?とはいってもいろいろイベントが入ったり暑かったり、ペースが乱れがちになる[…]
五十峰 聖先生
桜美林大学 芸術文化学群 特任講師
ETS Authorized Propell® Facilitator
ETS TOEFL ITP® Teacher Development Workshop Facilitator
上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。
関連情報
Performance Descriptors for the TOEFL iBT® test
各セクションは0~30のスコアで評価され、そのスコアに応じて4または5段階のレベルに分けられます。このレベルはTOEFL iBT®テストにおけるCEFR levelを反映しています。
TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Speaking)
Speakingセクションの採点基準です。上記の「Performance Descriptors for the TOEFL iBT®test」と併せてご活用ください。
SpeakingはETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されており、Delivery(話し方)/Language Use(語彙の使い方)/Topic Development(トピックの展開)の大きく3つのポイントに分かれています。
TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Writing)
Writingセクションの採点基準です。上記の「Performance Descriptors for the TOEFL iBT® test」と併せてご活用ください。
Writingに関してもETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されています。
英語圏に限らず、世界の大学・大学院、その他機関で活用されています。また日本国内でも大学/大学院入試、単位認定、教員・公務員試験、国際機関の採用、自己研鑽、レベルチェック、生涯学習など活用の場は広がっています。
自宅受験TOEFL® Essentials™テスト
2021年から自宅受験型の新しいテストとしてリリースされました。約90分の試験時間、短い即答式タスクが特徴のアダプティブ方式の導入されています。公式スコアとして留学や就活などにご利用いただけます。
TOEFL ITP®テストプログラムは、学校・企業等でご実施いただける団体向けTOEFL®テストプログラムです。団体の都合に合わせて試験日、会場の設定を行うことができます。全国500以上の団体、約22万人以上の方々にご利用いただいています。