第9回 PHRASE List(Martinez & Schmitt, 2015)に類似した話になりますが、単語単体ではなく、その単語が他のどの単語と自然に結びつくのかを学習する上でcollocations dictionaryがあります。初期の英語学習者や和訳に頼る方ですと、「薬を飲む」という場合にmedicineと一緒にdrinkを使ってしまうことがあるかと思いますが、takeを使うべきです。Collocations dictionaryはこのようなコロケーションの学習に有効です。
また、リーディングやライティングなど書き言葉の学習において欠かせないものの1つがthesaurusであると思います。Thesaurusは類義語を集めた辞典です。英語では、リーディングでもライティングでも同じ単語の繰り返しを避けるべきとされています。例えば、TOEFL ITP® Practice Tests(Vol.1)のPractice Test Bに掲載されているキツツキを取り上げたパッセージがありますが(p. 90)、キツツキが穴を「掘る」という単語がexcavate, drill, chiselと1段落だけで3回も言い換えられています。また、TOEFL iBT®テストのライティングセクションのindependent taskでは人による採点と機械による採点がありますが、機械採点により同じ単語の繰り返しがチェックされます。上記はTOEFL®テストを例に同義語の学習の重要性を説明しましたが、留学後も、thesaurusは重要になります。教科書や論文を読む際にも役立ちますし、各授業の最後にessayを書くことが少なくないですが、その際にも言い換えは重要になります。Thesaurusは様々な出版社から出ていますが、アメリカ留学を考えているのであればアメリカ英語をサンプルとして作られたものを選んだ方が良いと思います。また、同義語の学習の際に気をつけてもらいたいのが、書き言葉と話し言葉の区別です。書き言葉で好まれるものを話し言葉で用いることのないように気をつけてほしいと思います。
アカデミックライティング対策としてthesaurus以外にMichiganシリーズのAcademic Writing for Graduate Studentsも有効です。これは特にアメリカの大学院進学を希望している方に薦めます。悪い英作文と良い英作文が掲載されていますのでどのような書き方が良いのか分かり易いと思います。また、アカデミックライティングのルールを知らない方は少なくないと思いますのでそのようなルールも学べます。例えば、IやButで文を書き始めない、短縮形を用いない、副詞を文頭や文末に置かないなどです。
上記で紹介したものはいずれもアカデミックな学習の対策に有効です。一つの学習法や図書に偏らず、様々な面を学習してほしいと思います。
【引用文献】
Swales, J.M., & Feak, C.B. (2013). Academic writing for graduate students. MI: The University of Michigan Press.
上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。
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