第2回 公開添削指導 TOEFL iBT®テストWriting対策 Academic Discussion taskチャレンジ

 

学習者の回答をETS公認トレーナーの田岡千明先生に公開添削していただきます。田岡先生の具体的なフィードバックを参考にして、無料練習テスト(TOEFL iBT®︎ Writing for an Academic Discussion practice questions )でWriting対策を行いましょう!

 

学習者のご紹介
大学生
Haruさん

  現在の英語力
初級者~中級者レベル
保有されている英語の資格:IELTS5.5、英検2級

 TOEFL iBTテストを受験する理由
大学の単位交換に利用できるから。留学の申請に必要だから
 目標スコア
TOEFL iBTテスト80

 

 目次
 問題演習
 学習者Haruさんの回答とAI自動採点結果
  田岡千明先生による公開添削
  ― 具体的な改善点
  ― サンプル解答
  ― 総評
 Haruさんの2回目の提出と感想

 

問題演習

Writingセクションの「Academic Discussion task」は、Discussion Boardやオンラインの授業を想定した 内容で、試験時間は10分間で、まずInstructionsを読み、Questionで教授の問題内容または問題の意図を確認し、それについての Student responses 2名の学生の意見を確認した後に、画面右下の欄へ解答をタイピングしていきます。今回Haruさんに挑戦していただく、AI採点機能付きの「TOEFL iBT Writing for an Academic Discussion practice questions」は、Sociology(社会学), Education(教育学), Environmental Science(環境科学), など留学後の授業でも役立つトピックで練習ができる無料練習問題です。皆さんもチャレンジしてみましょう。

 

学習者Haruさんの回答とAI自動採点結果

Haruさんには、”Writing for an academic discussion”  Question 14 「キャリア準備(Career Readiness)」にチャレンジしていただきました。AIによる自動採点の結果は 3.0 でした。

田岡千明先生による公開添削

具体的な改善点

88 wordsでAIによる自動採点の結果は 3.0 でした。伝えたいことは分かりますし、時間が限られた中でよく頑張られたと思います!

AIスコア 3.0 で考えられる弱点として自分の見解の裏付けが不明確または無関係であったり、例や詳細が欠けている(これは内容的な特徴)、文法的なミス、誤った単語の使用、文法構造や語彙に十分なバリエーションがない(これは文法・構文・語彙といったライティングの質に関する特徴)があります。では具体的にどのように改善すればよいか見ていきましょう。

便宜上、テキストの文にそれぞれ番号を打って解説していきます。

 

① I think a large company is better for new university graduates to start working.

・Haruさんの文を文法的に正しくするには、最後に for が必要となります。

It is better for ~ to doの構文の方がよく使用されます。A large company がbetterというより、そこで働くことがbetterという意味合いがでます。I think it is better for new university graduates to start their career in a large company. to以下のところをto start working for a large companyでも大丈夫です。この構文はシンプルで応用可能なのでお勧めです。その他Large companies are a better place for new graduates to start their career. なども使えます。

・上述の文はどれも文法的にも内容的にも問題はありませんが、academic Englishにおけるclarity(明晰さ)の観点から言うと、何がbetterなのかということを明らかに、そして早めに述べることができるとさらに格が上がります。後述のSample Answer 2を参照してください。

 

② That is because they will provide a lot of experiences that should be taken by a business person.

・前の文からの続きから読んでいくと、theyが何を指しているのか分かりにくいですね。前述ででてくる複数形の名詞がnew university graduatesだけですので。

・また、experiencesをprovideするというよりも(経験をするための)opportunitiesをprovideするとした方がいいと思います。 provide (O) a lot of opportunities to do は利点などを言うときによく使われる頻出表現です。さらにこのままだとtakeすべきexperiencesとなりますが、コロケーションとしてはtake experienceよりもgain experienceの方が圧倒的に多くなっています。

This is because working for a large company (代名詞で受けるならit) will provide them (new graduatesのこと) a lot of opportunities to doとしてはどうでしょうか? そしてdoの部分を考えます。後に書かれているものから推測するとビジネススキルを学ぶということかと思うので、例えば learn and develop business skills … そして説明を増やし、同時に語数を増やすためにも修飾語句をつけてみます。 to learn and develop business skills that are essential to be successful in their career などと関係代名詞節で情報を追加してみましょう。

・This [That] is because SV(節)は文法的には正しいのですが、この文脈で使うには少々大げさです。前述されている内容が「~の方がbetter」と言っているだけで、それほどのcredibility「信頼性」を証明する理由が必要ではないからです。普通に理由を表す接続詞(becauseやsince)を1文目の最後に付け加えるといいでしょう(後述のSample Answer 2を参照してください。Sample Answer 1ではそのままにしています)。

 

③ One is an education seminar.

・One が急にでてくるので少々びっくりするのですが、One such experienceということなのでしょうか? ここで使用するのに便利なのはFor example, SVかと思います。またeducation seminar 「教育セミナー」とありますが、多分意図されているのは「新人研修」かと推測します。この意味で使える単語として、orientationやinitial training, training for new employees, induction, induction trainingなどがあるでしょう。

 

④ Freshmen/women will take some courses that introduce the manner as a worker.

「新入社員」はnew employeeやnew recruit, newcomer など、freshmenは大学の1年生です。

・…will take some coursesとありますが、「コースをとる」より、「とることができる」とかそのような機会を「提供される」といった方が「利点」が強調されてよいでしょう。

・the manner だと「そのやり方」という意味になってしまいます。いわゆる日本語で言うところの「マナー」はmannersです。business manners and …と何かセットでもってくるといいでしょう。例えばbasic business manners and practices, skills, rules, etiquetteなど。workerということばを使うなら形容詞を足して、respectable [decent] business person「立派な(ちゃんとした)ビジネスマン」としてもよいかと思います。

 

⑤ It will be helpful for them in the future.

・ it が指しているものは、おそらく④で述べられている「コースを学ぶこと」ですね。それなら関係詞の非制限用法 ‘… , which SV’が使えます(⇒構文のバリエーションが広がります)。

 

⑥ Second one is new employeers can learn how to manage their company from their senior.

・Second one …経験できるものの例の2つめを提示しているのですね。この文脈なら A second such opportunity などでしょうか?oneを普通の名詞にして、2つめの「何」なのか明確にしましょう。英語として文法的に正しくするにはisの後にthatを入れて…is that SV (節)「…はSVであることです」とします。別案として、In addition, SVAnother example is ~(名詞)/ that SVもあります。とてもシンプルに、でも分かりやすくalsoなども使えます (Sample Answer 1を参照してください) 。

・learn how to manage their company from their seniorは文法的には問題はありませんが、manage one’s company は「自分の会社を経営する」となります。新入社員が自分(?)の会社の経営の仕方を学べるのかどうかは現実としてありえるのかどうかは気になるところです。

・employeersのスペルミス。多少のスペルミスは許容されます。ですが、これはemployerとemployeeが混じっている形でconfusingになりえますので注意が必要。もちろん社員を意味しているのだと思います。

 

⑦ Thier bosses will teach them the way to do their job or improve the skills.

・Thierもスペルミスですね。最後になって時間的にあせったのでしょう。

・do their jobやimprove the skillsもできればより具体的に(どんな仕事とか、どんなスキルとか)述べるといいでしょう。

⑥ででてきたseniorを⑦ではbossを言い換えようとしているのはよいですね。ちなみに先輩・上司を表すのにsuperior, supervisor, senior colleague, managerなども使えるでしょう。

 

サンプル解答

次のSample Answer 1は、これらのポイントを総合して(でも内容はできるだけ変えず)書き換えた別バージョンです。語数はあまり変わりませんが、AI判定では4.0に上がります。

【Sample Answer 1】
I think it is better for new university graduates to start working for a large company. This is because it will provide them a lot of opportunities to learn and develop business skills that would be essential to be successful in their career. For example, they can learn basic business manners and practices in induction training and orientation sessions for new employees, which will be helpful for them in the future. They can also learn how to manage their company from their supervisors who will give them valuable tips and insights regarding daily operations and management.
(96 words)

もし余裕があれば、次のSample Answer 2も参照してください。語数は同じですが、AI判定では5.0となります。

【Sample Answer 2】
I believe working for a large company offers more advantages for fresh graduates since they can gain corporate business experiences. For example, these graduates can acquire essential business etiquette through induction training and orientation sessions, which provide them with valuable skills and knowledge that will benefit their future endeavors. Another advantage is that new employees can learn effective company management strategies from their experienced senior colleagues in large corporations. In addition, within these firms, supervisors and managers play a pivotal role in guiding these employees by providing instruction on job responsibilities and guidance on skill enhancement.
(96 words)

Sample Answer 2では、語彙レベルが上がっています。いわゆる学術的に使われる英単語リストにのっているような語彙(endeavor, benefit, pivotal, instruction, enhancementなど)を使用しています。

さらに、前述の解説で述べた1文目に関してですが、「主語がworking for a large companyで、それがofferする、何を? …advantagesを…」と、何が何をどうするという関係が最初から分かりやすいです。 It is better …(何がbetterなんだろう…)と読み手を待たせるよりも好ましいですね(←上級を目指す人はこういうことにも気を配ってみましょう!)。

 

総評

最初にもお伝えしましたが、AI採点の3.0点、素晴らしいです!上記指摘した点については、短期間で全てマスターして真似できるものではないと思いますし、それでOKです。今の段階でできることとして、書き直しや見直しをする際に以下の点に気を付けてみましょう。

英語に関して

単語を言い換えたり、言葉を重ねたり(A and B)することで、使用している語彙の数と種類を増やすようにしてみましょう。
形容詞や関係代名詞節などを使って、名詞に説明を加えることで内容も「厚め」にしていきましょう。読んだ時の印象がよくなります。
 コロケーション(よく使われる語彙の組みあわせ)や語法などもできる範囲で確認してみましょう。
自分が使った代名詞が指し示しているものがクリアかどうかも見直せるといいですね。

内容などその他について

与えられたトピックについて答えて説明をしていれば、内容の細かい部分に関してはそれほどチェックされないかとは思うのですが、留学後も見据え、今後のために…。内容についての細かい「ツッコミ」になる部分もありますが、検討してみてください。

AとB、どちらがいいかを比べる場合、比較級を使うこともできます。今回の例でいえば、既存の大手企業と小さな新興企業を比べているわけですが、後者でも、新人研修はあると思いますし、色々教えてくれる先輩もいるでしょう。ですので前者を選ぶ理由を述べる際、「より充実している」とか「より幅広い研修」「より長い研修」というように比較級を使っていくといいでしょう。先輩・上司については「より多くの先輩・上司がいる」とか「より様々なbackground(経歴)を持った先輩・上司がいる」などにしてはどうでしょうか?

自分が本当に言いたいことを伝えられているかどうか確認してみましょう。さきほども指摘しましたが、新入社員が大きな会社で「会社の経営」を学ぶことができるのかどうか実社会の事柄として正しいのか?と気になりました。これはHaruさんが言いたいことでしょうか?

語数を増やす手段として、先の2人の学生さんが意見を活用するのもよいでしょう。例えば、「Kellyに賛成」として、Kellyが言っている内容を言い換えてから、自分の意見(理由)を付け加えるというのもありです。

語数は多めを目指しましょう。実際のテストではAIは人間の試験官の役割を補助的にするだけなので、意味なく語数を増やしてもhuman raterにダメ出しをされるかもしれませんが、今回のAI採点に限って言えば、語数が多ければ(150語ぐらいまでで)点数は高く出るようです(検証済み)。

 

10分という時間では多くのことに気を配れないでしょうが、あくまでも書き直しの段階で、TOEFL対策をしながら英作文の全体的な質をあげるという点からコメントさせていただきました。普段上記のようなことに気をつけていると本番でもより正しく適切な英語が論理的にすらすら書けるようになります。これはTOEFL対策のみならず、留学後こそまさに必要になることです!引き続き頑張ってくださいね。Good luck!

 

Haruさんの2回目の提出と感想

2回目の提出をいただきました。

 

 

 

 

田岡先生からのアドバイスでは、自分の文章が抽象的で、かつ文法のミスも多くあることを指摘いただきました。その中で内容は具体的に詳しく書くことで自身の主張が明確になり、説得力が増す。 ことさらに適切な単語の使用文構造のバリエーションが高得点獲得のために重要であると気づくことができました。

※Dropboxにリンクします

 

 

 

田岡 千明 先生
神戸女学院大学 共通英語教育研究センター 准教授

ETS Authorized Propell® Facilitator
ETS TOEFL ITP® Teacher Development Workshop Facilitator

#田岡千明先生

 

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上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。


 

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TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Speaking)
Speakingセクションの採点基準です。上記の「Performance Descriptors for the TOEFL iBT®test」と併せてご活用ください。
SpeakingはETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されており、Delivery(話し方)/Language Use(語彙の使い方)/Topic Development(トピックの展開)の大きく3つのポイントに分かれています。

TOEFL iBT Writing Section Scoring Guide TOEFL iBTテスト スコアガイド (Writing)

TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Writing)
Writingセクションの採点基準です。上記の「Performance Descriptors for the TOEFL iBT® test」と併せてご活用ください。
Writingに関してもETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されています。

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