学習者の回答をETS公認トレーナーの田岡千明先生に公開添削していただきます。田岡先生の具体的なフィードバックを参考にして、無料練習テスト(TOEFL iBT®︎ Writing for an Academic Discussion practice questions )でWriting対策を行いましょう!
Umiさん
現在の英語力
TOEFL iBTテスト 65
TOEFL iBTテストを受験する理由
大学進学の受験資格を得るため。(国際教養大学、上智大学、国際基督教大学、立命館アジア太平洋大学を視野)
目標スコア
TOEFL iBTテスト90
問題演習
Writingセクションの「Academic Discussion task」は、Discussion Boardやオンラインの授業を想定した 内容で、試験時間は10分間で、まずInstructionsを読み、Questionで教授の問題内容または問題の意図を確認し、それについての Student responses 2名の学生の意見を確認した後に、画面右下の欄へ解答をタイピングしていきます。今回Haruさんに挑戦していただく、AI採点機能付きの「TOEFL iBT Writing for an Academic Discussion practice questions」は、Sociology(社会学), Education(教育学), Environmental Science(環境科学), など留学後の授業でも役立つトピックで練習ができる無料練習問題です。皆さんもチャレンジしてみましょう。
学習者Umiさんの回答とAI自動採点結果
Umiさんには、”Writing for an academic discussion” Question 13「教育行政(educational administration)」にチャレンジしていただきました。AIによる自動採点の結果は 3.0 でした。
田岡千明先生による公開添削
具体的な改善点
今回のUmiさんのWritingは90 wordsでAI判定のスコアが3.0でした。時間切れで途中で終わってしまっていたのと凡ミスともいえるスペルミスが多いのが残念でした。内容としてはご自分の経験を具体例に出されてましたね。詳細を述べやすいので語数は増やしやすいですね。
第2回公開添削時の繰り返しになりますが、AIスコア3.0で考えられる弱点として、自分の見解の裏付けが不明確または無関係であったり、例や詳細が欠けている(これは内容的な特徴)、文法的なミス、誤った単語の使用、文法構造や語彙に十分なバリエーションがない(これは文法・構文・語彙といったライティングの質に関する特徴)があります。具体的にどのように改善すればよいか、まずは1文ごとに文法・表現を中心に見ていき、最後に総評を述べたいと思います。
① As they mentioned I also think field trip is necessary for children’s education, because it has power to encourage students have motivation to learn.
・最初のtheyが誰のことを指しているのかが不明瞭ですね。field trips賛成派である一般の人々のことでしょうか? それであればmentionに過去形を使わないようにしましょう。
・tripは可算名詞なので、冠詞や所有格などの限定詞なく、単数では使わないように。一般的にfield tripというものを指すのであれば、field tripsと複数形にしましょう。KellyやPaulもそのように使っています。
・has power → has the power (後に「~する力」と限定するものがくるため)
・細かいことではありますが、becauseは従位接続詞なのでbecauseの前にはコンマ(,)つける必要はありません。
・前述の主語をfield tripsに修正するならitを変える必要があります。無生物主語の構文にトライしたのは素晴らしいです!
・encourageを使っているのもとてもよいのですが、残念ながら正しい使い方はencourage O to do「Oがdoするよう促す・促進する」で、toが必要です。
・have motivation to learnについてもmotivation の前にはtheをつけた方がいいですね(powerの時と同様)
・前述の2つを修正してencourage students to have the motivation to learn とした場合、文法的には間違いではないのですが、もって回った表現でawkwardな印象がします。 結局は「もっと」学びたい気にさせるということなので、“motivate students to learn more”とpowerは省略して動詞motivate一つで言い切ってしまいましょう。motivateの代わりにencourageやinspireも使えます。語彙力があるとアピールしたければ、 “motivate and inspire children”と語彙を重ねてもいいでしょう。
② When I was a juniorhighschool student, I visited Newzealand as a fieldwork that is the first time to experiece to going abroad.
・単純ミスとして、a juniorhighschool → a junior high school,
Newzealand → New Zealand,
experiece → experience
・fieldworkは不可算名詞です。a fieldwork → fieldwork
・experiece to going abroad → experience to go abroad
・内容に関して確認ですが、UmiさんはfieldworkでNew Zealandに行かれたのですか?fieldworkの英語の定義ですが、Oxford Learners’ Dictionariesだと “research or study that is done in the real world rather than in a library or laboratory”とあり、 Collins Dictionaryだと “the gathering of information about something in a real environment, rather than in a place of study such as a laboratory or classroom” で日本語で言うなら「実地調査」「現地研究」という意味になります。
・②の自分の体験を述べる前に一文前置きがあると読みやすくなります。例えば、“Just like Paul, there is one field trip that has positively affected my life.”
③ By seeing and feeling the another world, I was stimulated my senses.
・the another world → another world/another country に。
another は an+otherなので、theとは一緒に使わないと覚えておくとよいでしょう(the とa/anを一緒に使うことはありませんよね)
・I was stimulated my sensesは、おそらく「私は五感を刺激された」と言いたいのだと思うのですが、英文だと「私が刺激された」と節(SVの組み合わせ)が完了し、 “my senses”の部分が「浮いて」しまいます。文で果たしている役割がなく形の上でくっついているだけの状態で、日本語から英語に直訳するとよく起こってしまう間違いです。文法的に正しくするとI had my senses stimulatedとなりますが、言い回しとしては主語が(何かが)simulated my sensesとした方が自然です。例えば Seeing a different world with my own eyes and feeling the foreign atmosphere stimulated my senses.など
④ When I talked with the local people, I noticed how my English level is low.
・I noticed how my English level is low → I realized how low my English level wasに。
「(見たり・聞いたりして)気づく」という意味のnoticeよりも「実感する」という意味合いのrealizeを使った方が適切でしょう。また程度をあらわすhowの後には形容詞や副詞が直接続きます。言い回しとしてはhow poor my English wasの方が自然な感じがします。
・内容的なコメントとしては、もっと具体的に、詳細を述べましょう!せっかく実体験を述べられているので、どういう経緯でこのように感じたのか少しでいいので説明を付け足してみましょう。(Sample Answer 1を参照してください)
⑤ I was disappoited then, but at the same time I was burned up!
・スペルミスdisappoited → disappointedに。
・I was burned upは、おそらく「私は燃えた(→俄然やる気になった)」と言いたいのかと思いますが、残念ながらこれだと「焼かれた・燃やされた・(または)何かによってカンカンに怒った」という意味になってしまいます。普通に “I was greatly motivated”にするか、または「燃えた」系で行くのであれば “I was(got) fired up” 「気合が入る、(情熱が)燃え上がる」ではどうでしょうか?ちなみにこれも「激怒する」という意味もあります。
⑥ Therefore this experience give
・時間切れで終わってしまいましたね。書き直しの時には文章を完成させましょう。
・thereforeは “for this reason” “because of this”という、事実から結論を導く「それ故」なので、thusの方がよいかと思います。thusは “in this/that way[manner]”で、「何かが起きてその結果」という意味をもちます。
・スコアアップのためにできれば、最後にまとめを入れるといいでしょう。(Sample Answer 1を参照してください)。
総評
限られた時間内でトライしたAI判定の3.0点、well doneです!気になったのはスペル関係の間違い(スペースの有無を含む)が多めだったことと、Umiさんの留学経験はfield tripに入るのかどうかということでした。field tripの定義としては先生の引率があるものを指すようです。ただ、教室を離れての実地学習という意味ではあてはまるのでしょう。Paulと同じようにせっかく個人的な経験について言及しているので、詳細を盛り込むと語数も増えます。細かい部分指摘しましたが、いきなり全て完璧にする必要はないので、今の段階でできることとして、特に以下のハイライトと太字で強調している点に注意をしてみましょう。
英語に関して
日本語から英語に直訳するが故のミスがありましたね。語彙に関しては比喩的な表現(例えば「燃えた」で「やる気になった」を表すなど)は正しい表現を知らなければ間違う可能性が高いので、無難に知っている普通の表現での言い換えを考えてみましょう。
構文については、日本語の「は」につられてついつい自動的に主語を決めてしまわないように。主語と動詞そしてその他の要素の関係も考慮して英文を組み立てましょう。I was stimulated my senses. のような間違いをなくすように。
多少のスペルミスは許されるとはいえ、少々目につきました。おそらく手書きであれば間違わないと思うので、普段からキーボードを使って英語を入力することで打ち間違いによるミスを少なくできるといいと思います。(これは直接英語とは関係なかったですね!)
内容などその他について
・個人の経験について述べる場合、自分の頭の中ではついつい当たり前で言語化しないですましてしまいそうになりますが、ちょっとした具体例…何があってどう感じたのかの場合「何があって」を付け加えるようにしましょう。これはご自分が経験した事実なので組み込みやすいと思います。
今後異なるお題に取り組むときに検討できることとして、例で挙げられている先の学生二人(KellyとPaul)と異なる視点でdiscussionにcontributeできないか考えてみてもいいですね。今回のUmiさんの意見は視点としてPaulに近く(Paulは(あるfield tripのおかげで)興味をもった、Umiさんはやる気になった)、何か別の利点がないか考えてみてもいいでしょう。例えば、教室で学んでいることが実際に役立つと実感できたとか実地で実際に経験した具体例によって教室で学んでいること(理論や現象)がよりよく理解できたなど。
前回のWritingの添削でも触れたのですが、AとBを比べるという方法も使えます。今回のお題であればDoctor Diazのquestionの最後にbetter spent learning in a classroomと比較級を使った意見に言及しているので、教室での学びとfield tripでの学びを比べてもよいでしょう。Sample Answer 2を参照してください。
またKellyのようにfield tripsについて先生側からの視点(先生に負担)について意見を述べることもできます。Sample Answer 2の最後に少しだけ言及していますので参照ください。
サンプル解答
以下にAI判定5.0のサンプルアンサーを1つご紹介します。今回は個人の体験を例として入れたため前回のサンプルアンサーよりも長めになりました。
【Sample Answer1: AI判定スコア 5.0 】
As some people might argue, I believe that field trips are necessary in primary and secondary education because they can motivate and inspire children to learn more. Just like Paul, there is one field trip that has positively affected my life. When I was a junior high school student, I visited Wellington, New Zealand for a school exchange program. It was my first trip abroad, which gave me a hands-on experience of learning English outside the classroom. I realized how inadequate my English proficiency level was when I talked to the local people there. I couldn’t even express myself well in small talk topics such as weather and food. I was very disappointed then, but at the same time, the experience triggered my motivation to study English harder. As Paul’s case and my experience show, field trips can change children’s future for the better, so I believe that schools should provide such opportunities to children. (155 words)
AI判定でのスコアアップを考え、解説のところで掲載したよりも語彙レベルを上げるように意識しています。(primary and secondary education, inadequate, proficiency, triggerなど)。またUmiさんの実際の体験は分からないのですが、想像して詳細を入れてみました(Wellingtonという地名やschool exchange programなど)。さらにこのUmiさんの海外渡航経験がfield tripにあたるのかどうかも微妙なため、 “a hands-on experience of learning English outside the classroom”と付け加え、念のためfield tripとUmiさんの経験での共通項、 practicalであるという点や教室外という点について触れておきました。さらに英語力のなさを実感した具体例として “I couldn’t even express…”の説明を追加しました(ここも私の想像です)。
以下のSample Answer 2は長編になっておりますが、余裕があれば参照ください。10分ではこれだけ書くのは無理ですし、長すぎるとPractice QuestionsのAI判定では0となります。これほど書かなくても最高スコアは取得できるのですが、質問に対しできるだけ答えるという観点から、参考にしてみてください。以下のSample Answers 2では質問で尋ねられていることに対して多くの視点から答えてます。下線部のところからfield tripsでの学びと教室での学びを比べていることを示し、また黄色マーカーでschool management, administrator, fundingといったquestionででてくる内容にも言及しています。
【Sample Answer2 】
In my opinion, field trips are necessary in primary and secondary education because it can provide a better option of learning rather than studying in a classroom setting all the time. Some school managements perceive these trips as inessential expenses, but they can serve as effective complement to students’ learning at school. For example, attending a musical concert of an orchestra could actually present students with many different types of musical instruments, each producing a particular type of sound to create a harmonious symphony together. This could help students fully experience the real life ambience of a live music concert compared to dry virtual music video projected on a white screen. In addition, field trips can motivate students to study harder. For instance, students can better realize the importance of learning a foreign language when they go to a country where it is actually spoken, rather than just practicing it with their classmates. They would probably feel frustrated and disappointed to find that their competence is limited in that language, which would in turn make them study harder. Such firsthand learning opportunities, whether they are cocurricular or extracurricular, can surely enhance children’s learning more than learning exclusively in a traditional classroom setting, and therefore, schools should provide such opportunities to children. Although I do understand some people’s concern that field trips can put extra burdens on teachers’ shoulders and school administrators’ financially, I don’t think it requires so much time or effort. They can just introduce their students to a more preferable learning experience. (254 words)
最後にAI判定について…AIの判定はあくまでも機械的な部分しか見ません。学術的な語彙を使っているか、同じ単語・表現、または関連ある単語・表現を使って文のcohesion(結束力)が保たれているか、転換語・表現を使用しているかどうかなど。本番では人間の採点者が内容も評価しますので、AIはあくまでも参考程度にしましょう。
Umiさん、speakingに引き続きwriting問題への挑戦、お疲れ様でした!赤ペン先生のようにたくさんコメントしてしまいましたが、出来が悪いということではないので気落ちしないでくださいね。できるところから一歩ずつ修正していきましょう。引き続き英語力アップの道を! Keep up the good work!
Umiさんの2回目の提出と感想
2回目の提出をいただきました。
今まで私が英語のWritingをするときは、とにかくたくさんの文量を書こうということばかりに意識を置いていて、細かい文法や単語についてはあまり意識をしていませんでした。しかし添削内容をみると文法や単語のニュアンスの違いによって意味が通じづらかったり、通じないことがあるということが分かりました…
※Dropboxにリンクします
田岡 千明 先生
神戸女学院大学 共通英語教育研究センター 准教授
ETS Authorized Propell® Facilitator
ETS TOEFL ITP® Teacher Development Workshop Facilitator
新形式対応 TOEFL iBT®︎ Writing for an Academic Discussion practice questions
学習者Haruさんも挑戦した無料練習テスト。
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上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。
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各セクションは0~30のスコアで評価され、そのスコアに応じて4または5段階のレベルに分けられます。このレベルはTOEFL iBT®テストにおけるCEFR levelを反映しています。
TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Speaking)
Speakingセクションの採点基準です。上記の「Performance Descriptors for the TOEFL iBT®test」と併せてご活用ください。
SpeakingはETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されており、Delivery(話し方)/Language Use(語彙の使い方)/Topic Development(トピックの展開)の大きく3つのポイントに分かれています。
TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Writing)
Writingセクションの採点基準です。上記の「Performance Descriptors for the TOEFL iBT® test」と併せてご活用ください。
Writingに関してもETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されています。
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