第5回 公開添削指導 TOEFL iBT®テストWriting対策 Academic Discussion taskチャレンジ

公開添削指導 TOEFL iBTテストWriting対策 Academic Discussion taskチャレンジ

学習者の回答をETS公認トレーナーの田岡千明先生に公開添削していただきます。田岡先生の具体的なフィードバックを参考にして、無料練習テスト(TOEFL iBT®︎ Writing for an Academic Discussion practice questions )でWriting対策を行いましょう!

 

学習者のご紹介
学習者あいりさん
大学生
あいりさん

  現在の英語力
英検2級、TOEFL ITPテストスコア467
 TOEFL iBTテストを受験する理由
留学に行きたいから
 目標スコア
TOEFL iBTテスト70

 

 目次
 問題演習
 学習者あいりさんの回答とAI自動採点結果
  田岡千明先生による公開添削
  ― 具体的な改善点
  ― サンプル解答
  ― 総評

 

問題演習

Writingセクションの「Academic Discussion task」は、Discussion Boardやオンラインの授業を想定した 内容で、試験時間は10分間で、まずInstructionsを読み、Questionで教授の問題内容または問題の意図を確認し、それについての Student responses 2名の学生の意見を確認した後に、画面右下の欄へ解答をタイピングしていきます。今回あいりさんに挑戦していただく、AI採点機能付きの「TOEFL iBT Writing for an Academic Discussion practice questions」は、Sociology(社会学), Education(教育学), Environmental Science(環境科学), など留学後の授業でも役立つトピックで練習ができる無料練習問題です。皆さんもチャレンジしてみましょう。

 

学習者あいりさんの回答とAI自動採点結果

あいりさんには、”Writing for an academic discussion”  Question 1「Sociology(社会学)」にチャレンジしていただきました。

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田岡千明先生による公開添削

具体的な改善点

あいりさん、提出を有難うございます。120語書けており、英語としてはなかなかよく書けていました。AI判定は4.0でした。この点数が示すところは、議論にも貢献できており、根拠も十分示され、分かりやすいということになります。考えられる弱点としては多少の文法ミスや不明瞭な点、より詳細や説明が必要な場合もあるかもしれないということです。

以前の添削コメントでも触れたことはありますが、AI採点は論理的な面を詳細にみている訳ではなく、使用している語彙や構文から「おそらく」論理的であろうと判断しています。提出いただいた回答は英文そのものよりもロジック(論理)の面で少々問題がありそうです。このことはトピックの展開、首尾一貫性の点で、最終的な総合得点に影響するので今回は細かい英語修正は後にして先に論理的な面を確認していきましょう。

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内容的な問題としては2つあり、Kellyに賛成の部分が全体を分かりにくくしている点と④のお題に対するあいりさんの論点が不明瞭な点です 

①の導入文でKellyの意見に部分的に賛成とありますが、回答の全体をみるとどの部分に賛成なのかが分かりにくくなっています。まずClairとKellyの意見の要点をまとめると、Clairは政府は農家への財政支援を強化すべきという意見であり、Kellyは政府はエンターテインメントと文化に焦点を当てたビジネスをもっと誘致すべきだとしています。あいりさんの回答ではKellyの意見に部分的に賛成とあるものの、その後の英文でどの部分に賛成なのかが明示されず、読み手が困惑してしまう可能性ありです。少なくともエンタメと文化ビジネスを誘致すべきという点について述べていないようです。 

あいりさんが一番述べたい意見は④にあるようですが、④のput them more and more が少々英語としては不明瞭です。おそらくいいたいのはincrease transportation services ということかと思います。ただこれも説明を読むと、田舎の地域内の移動ではなく、urban areasの人気の場所へ行き来するためのtransportationを便利にするという意味合いが強そうです(④都会の人気の場所にいくバスを増やすべき ⑤田舎に暮らすと仕事をやめなければならないこともある、⑥の生活スタイルを変えなくてもよければ引っ越すだろうなどから)。田舎から都会に行くための交通をよくするのであれば、Kellyの言うように娯楽産業を田舎に誘致する意味があるのか?とクエスチョンマークがでてきてしまいます。 

この論点を主張するにあたって、①の文があるとconfusingですので、思い切って削除するか、またはKellyの意見と自分の意見を関連付けたいのであれば、それなりの説明をする必要がありそうです。これについてはのちほどsample answer (解答例)の冒頭3文を見て頂ければと思います。 

それでは、一文ずつ見ていきましょう。 

 

① I partly agree with Kelly’s opinion.

英語は問題ありませんが、お伝えした通り全体的な論理の点から削除または変更した方がいいでしょう。 

 

② If you live in urban areas, you can go to any facilities easily. 

→ If you live in urban areas, you can go to any facility (of entertainment and culture) easily.  

「どの~でも」という意味でanyを使用する場合後続の名詞は単数となります。また①や③とのつながりを考えると(   )の部分を足した方が分かりやすいでしょう。 

 

③ However, in rural areas, it is hard to go to such places because there are few trains and ways of transportation. 

②のany facilityからsuch placesと続いてくると何を指しているのか分かりにくいですね。上記②でやはり娯楽施設と明示した方がいいでしょう。別案として以下のようなものもあげられます。一般的に「交通手段が限定的で、エリア内を移動するのに不便」と表してみました。 

→ On the other hand, in rural areas, it is inconvenient to get around due to limited modes of transportation, with few train or bus services available. 

 

④ So governments should put them more and more, for example, they should make buses that can go to the popular places in urban areas if they want to attract people to live in rural areas. 

英語としては文頭のSoが砕けた文体になるので、変更します。また細かいことですが、for exampleで節をつないでしまっています。この表現は接続詞ではないのでいったんピリオドで文を終えて、新たな文の始まりに使用するといいでしょう。put them more and moreも明確に。またmake buses の表現では「バスを作る」になってしまいます。

→ Therefore, governments should increase these services if they really want to attract more people to live in their areas. For example, they should make more bus services available that take them directly to popular entertainment places in urban areas. 

 

⑤ Some people are interested in moving to countryside but they sometimes have to quit their jobs to execute it because they can’t go to their offices.

英語の問題としては、countrysideにはthe が必要です。またexecute itの言い回しについては、do soにするかはっきり何をexecuteするのか述べましょう。 さらに、あいりさんの英語が間違っている訳ではないのですが、以下の文ではpeopleをcity dwellersにし、go to の代わりにcommuteを使用し、語彙レベルを高めに変えてみました。 

→ Some city dwellers are interested in moving to the countryside, but they sometimes have to quit their jobs to do so[to execute their moving plan] because they cannot commute to work in urban areas from rural areas.  

 

⑥ If the potential people can move another places without changing their lifestyles, the popurations of rural areas are increasing. 

move の後には前置詞が必要です。またpopulationsがスペルミスですね。以下の別案では仮定的な話としてwouldを使用し、また後半は “, ~ing”と分詞構文(「そしてそのことが、~する」)という表現にしてみました。 

→ Without having to change their lifestyles, potential rural residents would happily relocate [move] , increasing the rural population.  

または次の文のように、質問に対して自分の意見で的確に答えてますよと念押しする意味で、「政府が率先してより良い交通システムを提供すれば」というようにより説明的にする方法もあります。ここまで書けばかなり明確にあいりさんの意見が伝わります。 

→ If governments take the initiative to provide better transportation systems so that potential rural residents do not need to change their lifestyles, they would happily relocate, increasing the rural population. 

サンプル解答

以下に、長くなりましたが、一つのsample answerを提示しておきます。これほど長く書かなければいけないということではなく、こういう言い回しや語彙が使えるよという意味で、提示してみました。語彙レベルをあげているので(下線部引いてます)、高得点も狙いやすいかと思います。別トピックでも使用できる言い回しもあるので是非参考にして使えそうなものは利用してください。[   ]は言い換え可能な部分です。 

【Sample Answer】

I partly agree with Kelly’s opinion that businesses in the entertainment and art industries are crucial in attracting people to live in the countryside. However, I would say that improving transportation is also vital. Even if there were many places for entertainment in rural areas, without convenient transportation, they could not easily access such places. Therefore, rural local governments should improve their public transportation infrastructure by developing [expanding] road networks and increasing the number of bus and train services. If people can easily go to urban areas to work and to enjoy entertainment, more people will decide to reside in the countryside, resulting in an increase in population. Often city people simply do not want to change their lifestyle exemplified [characterized] by convenience, cultural enrichment and ample[profuse] opportunities for career and entertainment. An easy access supported by some government sponsored initiatives to those places would give a rural area an advantage in creating a vibrant society in which city dwellers would find appealing to live in.  (   ]部分も含めて152 words) 

このような政策を聞かれる問題には、government programs, official government actions, government sponsored initiatives, state-funded projects, などの単語が使用できます。交通関係ではaccessibility , modes of transportationなどが使用できます。このようなトピックに関連した使える表現を仕入れておくといいですよ。 

 

総評

基本的な英文作成能力としては高い力を持っておられます。伝えたいことを適切な語句でより明確に文章にし、語彙レベルをあげ、構文にバリエーションをもたせるとさらによくなるでしょう。論理展開では今回は導入文が論点を不明瞭にさせていたのでその点を削除か説明追加で改善しさらに政府が何をするべきなのかというあいりさんの論点をより詳細な説明でサポートできるとよかったと思います。英語がかけていてもトピックの展開の観点からスコアがさがってしまうという残念な事態が避けることができます。論理については英語関係なく、コツをつかめばすぐに上達は見込めるので、practice questionsに取り組むことで是非練習していってください。応援しています。 

 

田岡 千明 先生
神戸女学院大学 共通英語教育研究センター 准教授

ETS Authorized Propell® Facilitator
ETS TOEFL ITP® Teacher Development Workshop Facilitator

#田岡千明先生

 

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上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。


 

学習サポート・関連情報

Performance Descriptors for the TOEFL iBT® test
各セクションは0~30のスコアで評価され、そのスコアに応じて4または5段階のレベルに分けられます。このレベルはTOEFL iBT®テストにおけるCEFR levelを反映しています。

toefl_speaking_rubrics

TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Speaking)
Speakingセクションの採点基準です。上記の「Performance Descriptors for the TOEFL iBT®test」と併せてご活用ください。
SpeakingはETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されており、Delivery(話し方)/Language Use(語彙の使い方)/Topic Development(トピックの展開)の大きく3つのポイントに分かれています。

TOEFL iBT Writing Section Scoring Guide TOEFL iBTテスト スコアガイド (Writing)

TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Writing)
Writingセクションの採点基準です。上記の「Performance Descriptors for the TOEFL iBT® test」と併せてご活用ください。
Writingに関してもETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されています。

TOEFL iBT®テスト/自宅受験TOEFL iBT®テスト「TOEFL iBT® Home Edition」
英語圏に限らず、世界の大学・大学院、その他機関で活用されています。また日本国内でも大学/大学院入試、単位認定、教員・公務員試験、国際機関の採用、自己研鑽、レベルチェック、生涯学習など活用の場は広がっています。

自宅受験TOEFL® Essentialsテスト 
2021年から自宅受験型の新しいテストとしてリリースされました。約90分の試験時間、短い即答式タスクが特徴のアダプティブ方式の導入されています。公式スコアとして留学や就活などにご利用いただけます。

TOEFL ITP®テスト
TOEFL ITP®テストプログラムは、学校・企業等でご実施いただける団体向けTOEFL®テストプログラムです。団体の都合に合わせて試験日、会場の設定を行うことができます。全国500以上の団体、約22万人以上の方々にご利用いただいています。

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