【満点取得者ってどんな人?】正木伶弥先生インタビュー 前編 | TOEFL Hack 

TOEFL® Hack 正木先生

 

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今回はTOEFL iBTテストスコア120(満点)を取得され、まさに“TOEFL Hack”をされた正木伶弥先生のインタビューです。正木先生はTOEFL iBTテストだけではなく、英検、TOEIC、IELTS等で高得点を取得され、今年の9月まで英語試験対策スクールで講師をされていました。英語のスペシャリストであるご自身のこれまでの英語との関わりから、TOEFL iBTテストでスコア120(満点)を取得するまでの道のりなどをお伺いしました。スコア120(満点)を目指されている方だけでなく、TOEFLテスト学習者の皆さんにも学習や勉強のヒントが詰まっています。

 

 目次
 英語との関わり
 TOEFL iBTテスト スコア120(満点)への道のり
 今後のこと
 学習者へのメッセージ

 

英語との関わり

父からイギリスで生活をしていた時の話を聞いて育ったので、物心ついた時には英語に興味がありました

 

編集部
正木先生はTOEFL iBTテストだけでなく、英検、TOEIC、IELTSなどでも高得点を取られ、英語試験のエキスパートでもいらっしゃいますが、幼い時から英語を日常的に利用する環境だったり、教育を受けてきたのでしょうか。

 

正木先生
正木先生

私の父が10代からイギリスで生活していたこともあり、幼い時からイギリスの話を聞いて育ちましたので、物心ついた時から英語に興味はありました。

環境ということでは、意外と海外に行く機会はなく、初めてイギリスに行ったのは7歳ですし、2回目に行ったのは14歳だったと思います。何回も頻繁に行ったことはなかったです。ただ英語といいますか、異文化に触れる機会ということでは、父と一緒に来日したイギリス人の言語学者の教授の子どもたちとはよく遊びました。また隣人もアメリカ人でしたし、幼稚園の園長先生もポーランド人でした。英語で会話をするわけではなかったですが、異文化に触れる環境ではありましたし、異文化を感じる瞬間は多々ありました

英語の学習は、たしか小学校から始めたと思います。幼稚園、小学校はカトリック系だったこともあり、普段は日本語でしたが小学校で英語の授業がありました。文法など本格的に勉強を始めたのは、中学に入る前の11歳、12歳からですね。英語の個人塾をしていた父が教科書の内容を一通り教えてくれました。その後、私立の普通の中学校に進学したのですが、入学時には中学英語の学習は終わっていました。中間テスト、期末テストは100点以外を取ることはまずなかったです。

その後、15歳の時にイギリスで現地校の寄宿舎がある高校に進学しました。イギリスは高校が2年間なので卒業後の進路で、日本の大学に行こうか迷いましたが、イギリスの大学に進学しました。

 

授業の様子(イギリスの高校で)

 

ロンドン大学クイーン・メアリー校の卒業式で

 

 

TOEFL iBTテスト スコア120(満点)への道のり

テクニックでは測れない本物の英語力を測定していることに気づき、120(満点)を取ることができました

 

正木先生
正木先生

前職のバークレーハウス語学センターからヘッドハンティングを受けた際に「TOEFL iBTテストを受けませんか」というお話があり受験をしました。

初受験のスコアは114でした。114のスコアが持つ意味も分からず、TOEFLテストのコンバージョンで確認したところ、IELTSだと8と出て『8じゃないだろう』と悔しくて、2回目も続けて受けました。

『めちゃくちゃ難しいな』というのが、初受験の正直な感想でした。
対策などしなかったこともありテストに慣れていないのが原因だと思いますが、とても疲れましたし『どうやっていいのか分からない』状態でした。

2回目の受験では、SpeakingのIntegrated tasks(*1)では、限られた時間内に、話者の会話を記憶して話をまとめなくてはいけないのですが、時間の制約で苦戦し話も全然まとまらず『このテスト、無理だなぁ』『こんなの英語力と関係ないスキルじゃないか。話をまとめるのが、上手い人もいればそうでない人ともいるじゃないか』と、手ごたえのなさに、苛立ちと諦めを感じていたんです。

その帰り道の電車の中で『どうやったらスコアがでるのかなぁ』と考えたときに、ふと『英語が凄くできる人ってどんな人だろう』っと思いました。そこで何人か浮かんだうちの一人に、知り合いのイギリス人のおばあさんがいました。彼女は凄い文才があり、今の世代とは異なり言葉がとても綺麗な方でした。もし彼女がTOEFL iBTテストを受けたらと考えた時に『タイムプレッシャーなどさっぱりできないと思うから、英語は凄くできるのに、満点は絶対に無理だろうな。たぶんスコア80ぐらいだな』と思ったんですが、このTOEFL iBTテストの採点官が彼女の英語を聞いて『あなたは英語力が十分ではありませんね』っと判断するのかなと考えた時に、絶対にそれは言わないだろうと思ったことが、ある種の気付きになり、今まで気にしてた『タイムプレッシャーや詳細まで記憶をすることは評価基準でない』ということにようやく気が付きました。

そんな時に2回目の結果が返ってきて、スコア119だったんです。テスト会場を出た時には、前回よりもスピーキングは大失敗したと思ったのですが、戻ってきたスコアが前回と変わらなかったので『これならイケる』『方向性は合っている』と思ったんです。

3回目の受験では、帰りの電車で思い浮かべたイギリス人のおばあさんを思い出しながら、彼女よりタイムマネージメントがうまいぐらいで、要点だけちゃんと突いて、ある程度まとめるイメージを持ち、落ち着いて話しました。それが功をなしSpeakingのスコアで30(満点)を取ることができました。そこから逆にTOEFLテストが好きになりました。

本当に、完璧を目指すと自滅をするテストだと思いますが、テクニック的な部分は常識の範囲内で良しとする判断など、非常にいい意味で実を取る感じがアメリカの試験だと感じました

 

編集部
ネイティブの方であるそのご婦人がSpeakingのIntegrated tasksを受験したら満点だと思われた部分は、具体的にどのようなことだったのでしょうか。

 

正木先生
正木先生
感覚のところもあります。例えるならば、ある実験の話で母国語が違う人たちに、同じ5分ぐらいの映像を見せるんです。そしてそれを見終わったときに、『話をまとめてください』と伝えたときに、英語話者の場合はアクションを主軸に語っていくので、詳しくは次回にまわしますが、この英語話者の視点でまとめ方を意識すると良いと思います。大事なのは主軸ですよね。日本語話者の場合は、ディテールが豊富に入ってくる割りには話が完結しないことが傾向としてあるそうです

 

編集部

なるほど、文化的な違いも認識する必要があるのですね。テクニック的なことではなく「英語話者だったらという視点を持つ」というお話は初めて聞きましたし、高得点を目指される方にとっては参考になると思います。

高得点といえば、1回目の受験からスコア114ということで、1回目からすでに120(満点)に近いスコアを取得されていますが、満点までにおこなった対策などありますか。

 

正木先生
正木先生
特に対策は行っていません。
スコア110以上から120(満点)までのテクニック的なSpeaking対策というのは、あまりないと思います。110以上取得しているならすでに流暢に話せると思いますし、英語力が足りないからできないということはないレベルだと思うので、テクニック的な対策はメインではないと思っています。Writingについては、私が満点を取れるというのはある意味で奇跡なんです。というのも私はスペルが絶望的に苦手で、難しい単語だけでなく簡単な単語でも間違えることが多いんです。それでも満点が取れたということは、スペルのミスなどを測っているのではないと思っています。その点はかなりゆるいと言いますか、IELTSよりもおそらく厳しくないのではと思います。実際の現実世界ではスペルミスはWordが直してくれるので、そういった細かなことではなく、根本の英語力を測っていることを忘れずに勉強することが大事だと思います。

 

正木先生が取ったTOEFLの120(満点)のスコア = ご本人提供

 

今後のこと

住む場所は関係ない!子どもたちに英語を通じて可能性を提示する仕事にチャレンジします

 

正木先生
正木先生

ゆくゆくは比較教育学を学ぶため海外の大学院に留学する予定です。

その前に、自分が研究したいテーマに近いお仕事でお声がけをいただき、公営の大学進学者向けサポートセンターを立ち上げるプロジェクトに参加をすることになりました。愛媛県松山市から車で2時間ほどの距離にある町の唯一の県立高校です。町主導になるので、国でなく、地方自治体単位の判断で動くプロジェクトが見られるのも良い点だと思います。

留学の選択肢や情報がないだけで、環境を整えてあげれば留学できる子はたくさんいると思います。まずは日本で大学入試へ進む子にはそのサポートをしますし、またゆくゆくはそれ以外の選択肢もあるということも見せられたら嬉しいです。

例えば、今、私が高校生だったらTOEFL iBTテストで、チェコの医学部への進学を検討すると思います。チェコは医学部でも物価が安く授業料も日本や欧米に比べて安く医師免許を取得することができるんです。またその医師免許はEUのどの国でも医師として働ける免許です。こういった英語さえできれば広がる可能性もあるということを、子供たちに提案できたら嬉しく思います。

 

 

 

学習者へのメッセージ

失敗を恐れず自分の強みを思う存分発揮できれば、ちゃんと評価してくれるのがTOEFL iBTテストだと思います

 

正木先生
正木先生

完璧な回答を求めるのではなく『あなたのアイディアを示してほしい。少しぐらい間違えてもいいから、リスクを取って何ができるのか見せてください』と言ってくれているテストだと思います。自分の完璧ではない弱いところはなるべく隠して、ミスがない状態の答案を出すというよりは『ちょっとぐらい間違えてもいいから、自分の強みを精一杯思う存分見せれば評価しますよ』というリスクテイキングは、やはり英語圏の美徳の一つだと思うので、それに基づいた良いテストだと思います。そう思えるのは、3回目のスコアが良かったことから感じることです。

 

編集部

ありがとうございました。
今回は高得点を目標にされている方へのお話を中心にお伺いしましたが、読者の方の中にはこれから受験される方や難しいと感じている方もいらっしゃると思います。そういった方へのメッセージもいただけますでしょうか。

 

正木先生
正木先生

TOEFL iBTテストは学習者のレベル別になっているテストではなく、個々の英語力に関係なく全員同じテストを受けなくてはいけないので、難しいと感じる方もいると思います。勉強は辛いもの、耐えるものという考え方が日本では根強くありますが、自分がより楽しめる範囲のところから勉強をスタートして、TOEFL iBTテストのスイッチを入れたほうが良いと思います。

 

編集部

今日は貴重なお話をありがとうございました。

正木先生
Zoomでインタビューにご対応くださいました

 

 

(*1)TOEFL iBTテストのSpeakingセクションでは、Independent taskのほかに、同時に複数の技能を測定する問題(読んだり聞いたりした内容を要約して話す) Integrated tasksが 3問 (解答60秒ずつ)出題されます。詳細はこちら

 

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TOEFL Hack 正木伶弥先生

 

 

 

プロフィール

正木伶弥先生
東京都出身。14歳時、ブリティッシュ・カウンシル奨学金にて英ボーディングスクールへ人生初の短期留学。中学卒業と共に単身渡英し、パブリックスクールを経て、ロンドンにて大学進学。CELTA取得後に卒業し、帰国。個人・法人・大学を対象に、IELTS、TOEFL、英検等、様々な対策指導、セミナー登壇を経験し、現在は愛南町教育委員会所属。ブリティッシュ・カウンシル公認IELTS Expertとして著作も発売中。
Twitter:@RMasaki33

上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。


 

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Performance Descriptors for the TOEFL iBT® test
各セクションは0~30のスコアで評価され、そのスコアに応じて4または5段階のレベルに分けられます。このレベルはTOEFL iBT®テストにおけるCEFR levelを反映しています。

toefl_speaking_rubrics

TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Speaking)
Speakingセクションの採点基準です。上記の「Performance Descriptors for the TOEFL iBT®test」と併せてご活用ください。
SpeakingはETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されており、Delivery(話し方)/Language Use(語彙の使い方)/Topic Development(トピックの展開)の大きく3つのポイントに分かれています。

TOEFL iBT Writing Section Scoring Guide TOEFL iBTテスト スコアガイド (Writing)

TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Writing)
Writingセクションの採点基準です。上記の「Performance Descriptors for the TOEFL iBT® test」と併せてご活用ください。
Writingに関してもETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されています。

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