第21回 授業での実践事例 | Y.E.S. ESL International, Inc. 長野勇先生

 

統合型英語力育成のための授業

 

 目次
 統合型英語力(Integrated task)の難易度
 Step by stepで育む統合型英語力
  ① Input & Output
  ② 統合型リプロダクション

 

統合型英語力(Integrated task)の難易度

TOEFL iBT®テストではIntegrated Taskがあり、日本人学習者にとっての難易度は極めて高い。現在4技能全てに英語力がある優秀な学習者は、はじめからTOEFL IBT®テストの過去問題などを使用し学習することができると思うが、皆にその英語力があるわけではない。一般的に言って高校卒業後、海外留学を目指す日本の高校生の英語力は英検だと準2級から2級というのが現状ではないだろうか。既に実力のある生徒達の英語力を向上させることも大切だが、それよりもまずは日本の学校教育の中で学習してきた平均レベルの学習者に焦点を当てて、授業実践を紹介したい。

Step by stepで育む統合型英語力

私が勤務するY.E.S. ESL International, Inc.(アメリカ・カリフォルニア州)ではMerced College付属語学学校を運営している。この他にも2020年5月からTOEFL®テスト早朝クラスという高校生向けのオンライン英語クラスを開講した。ここには高校卒業後、海外留学を目指す生徒を中心に展開し、3年間かけてTOEFL IBT®テストの点数を取ることに注力している。海外進学を志す学生の中には決して英語力が高いといえない者もいる。そんな生徒を対象に授業を実施していて鍵となるのがやはりIntegrated Taskの指導である。しかし、Integrated Taskの難易度は高いため、はじめからTOEFL®テストの問題に取り組むよりもスモールステップで学習を進めていく必要がある。

そこで、その学習実践事例をいくつかご紹介したい。

Input & Output

  1. 簡単な会話のListening。最終的にはアウトプットに繋げたいので難易度は低くし、8~9割程度理解できるものが良い。
  2. そして、会話に関する英問英答を行う。ペアとなり、片方が英問と同様の質問をパートナーにする。質問された方は自らがWritingしたものを見ずに、会話で質問に答える。(この際、Writingの文章を見ない代わりに10~15語キーワードをピックアップさせ、それをもとに話をさせても良い。)ペアと役割を交代しながら行う。
  3. ペアを変えて何度か繰り返す。

 

*Listening教材は高校の教科書などの音源でも、その他オンライン上で無料で提供されているものなど難易度のあまり高くない方が良い。TOEFL®テストのIntegrated Taskを解くにはまだ早いと思われる学生への橋渡し的なタスクとなる。

 

Listen to conversation between two people and write answers.

  1. Why did the student go to talk to the woman?
  2. What does the student need to borrow books?
  3. How many books can a student borrow at a time?
  4. How many days can a student keep books?
  5. A student can renew books once in a semester. How can a student renew books?
  6. What kind of books do you like to read and why? (novel, sports, mystery, love, travel, self-help, etc…)

 

② 統合型リプロダクション

  1. こちらもまず会話、もしくはレクチャー形式のListeningをする。Listening中はメモを取って良い。(生徒の理解度によって何度か聞く機会を与える。まずは理解できないとアウトプットに繋げることはできないため、理解することを優先させる。)
  2. その後、内容に関するイラストを提示し、Listening時のメモから10~15語重要なwordをピックアップさせる。
  3. メモとイラストをもとに内容を描写(リプロダクション)する。

 

*「小倉慶郎(2011). 英語リプロダクショントレーニング DHC」がおすすめである。学生に購入させ、アウトプットの練習として活用する価値がある。(上記で紹介した方は本書をアレンジして使用している。)

以上で紹介したタスクはTOEFL IBT® Test Integrated Tasks(Speaking)対策の導入として有効であると考える。なぜなら多くの日本人学生の場合、はじめからIntegrated Tasksに取り組むのは難易度が極めて高いからだ。加えて、このIntegrated Tasksは他技能とは異なり段階的に学習するための教材やメソッドがあまりない。しかし、工夫次第では対策することができる。紹介したタスクは主に高校1、2年生を対象としている。

 

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Y.E.S. ESL International, Inc.
長野勇先生

北海学園大学人文学部英米文化学科卒業。カナダ・レスブリッジ大学を経て北海道公立高校教員となる。教員退職後は米国カリフォルニア州マーセッドカレッジ付属語学学校を経営するY.E.S. ESL International, Inc.に勤務している。主に留学生の指導や英語授業、米国高校生と日本人高校生をオンラインで繋ぐConversation Partner Programも担当している。

 


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