第6回 Readingの注意点

第6回 Readingの注意点

 

皆さんこんにちは。夏の過ごし方はいかがでしょうか。私は、夏の期間中にTOEFL®テスト対策に本腰を入れてスコアを是非とも短期間で伸ばしたい!という学生達に集中講座を教える機会がありました。集中講座、というと、「いかに短期間でコツを覚えてスコアアップに反映させるか?」というのがテーマになりがちですが、それは必ずしも良い考え方とは言えません。そのような講座は、あくまでも「今後の勉強へのきっかけ作り」的な位置づけであると私は考えます。短期間で知識やノウハウを詰め込んだとしても、それがすぐ回答力やスコアに反映されるほどTOEFL iBT®テストは易しいものではありません。知識があったとしても、実際にそれが行動で活かされるかどうかは、その人の英語の地力といいますか、本来持ち備えている筋力みたいなものだと私は思います。筋トレでいいますと、体幹トレーニングみたいなものでしょうかね(筋トレに関しては今後またお話します)。ですから、ある程度の時間のスパンで、自分が納得するまでの理解度を高めることと、頭や言葉ではなく、自分の体が無意識に反応するような、それに至るまでの反復練習が必要になってきます。それは体を使うSpeakingにおいても、今回説明するReadingにおいても同じです。「根本的な対応力」をつけられるよう、単なるテスト対策としてだけではない日々の訓練を心がけてください。

ということで、今回はReadingセクションについての連載です。まずはいくつかの注意点から伝えさせてください。

 

Reading 注意点 1 ―時間配分について―

まずは個人的にReadingセクションの最大の難所であると感じる、時間配分についてです。受験経験のある方はご存知だと思いますが、このセクションでは3パッセージ(長文)を60分、または4パッセージを80分の出題形式となっています。以前はパッセージ 20分、などというパッセージ毎の制限時間による区切りがあったのですが、現在はトータルで60分ないしは80分で回答する形式に変わっています。その点について、今まで多くの受験者からの悩みを聞いてきました。「時間内に全てのパッセージが終らない」や「最後の1パッセージはほとんど飛ばして回答するしかなかった」といった内容が大部分でした。

その理由はパッセージそのものが読みきれないとか、TOEFL iBT®テスト特有の出題形式にてこずっている、など様々です。しかし、スコアアップを目指すのであれば確実にやらなくてはならない点があります。それは「1パッセージ 20分以内」のルールを守ることです。確かに指定時間以内に全部のパッセージを終えることができればそれでOKなのですが、だからといって前半に時間をかけすぎ、最後のパッセージに実質10分ぐらいしか使えなかった、ではスコアアップは期待できません。

ですから1つのパッセージを絶対に20分で切り上げなくてはなりません。終ってなくても先に行くべきです。Readingの問題はsummary/table問題(13, 14問目にくるQ)以外全て素点は1点で、素点合計45点。これをセクションスコアの30点に換算すると1問当たりおよそ0.5点分しかないのです。(Readingスコア算出の一例を更に詳しく知りたい方は、公式テキスト(The Official Guide to the TOEFL® Test)をお求めの上、記載されている素点と換算点の表をご参照ください(あくまでも目安です)。)言い換えると、たった0.5点にしかならない1問を間違えることを恐れて時間をかけすぎて、次のパッセージでもっと簡単に点数をとれるかもしれない問題をみすみす逃しているわけです。非常にもったいないですね。

まずは何がなんでも「1パッセージ = 20min.」を守るべきです。1問1問を丁寧に解いてはいけません。ある程度覚悟をして、多少飛ばしてもしょうがない、ぐらいの心構えで行きましょう。

 

Reading 注意点 2 ―パッセージの特徴と読み方について―

TOEFL iBT®テストの1パッセージはおよそ700 words程度、場合によってはそれ以上あるものもあります。TOEFL® PBTテスト/TOEFL ITP®テストなどのTOEFL®テストに慣れている人にとっては、2倍またはそれ以上の増量になり、読むだけでも大変に感じるかもしれません。また段落も、均等な量・行数で構成されているわけではなく、introductionにあたる段落が2行程度しかなく、その後body paragraphにあたる段落が延々と続いておしまい、のようなパッセージもよく見受けられます。したがって、お手本どおりにきれいな展開のパッセージを期待していると痛い目にあいますので注意しましょう。

また注意点1とも関連してくるのですが、時間内に解き終わらない人ほど、パッセージを冒頭から最後まで読み通しているようです。その必要はありません。パッセージ全部を読むことありき、なのではありません。もちろん全体像を掴めるなどの利点はありますが、「まず全体を読みなさい、そして問題に答えなさい」という指示はありませんし、そのような出題設定にもなっていません。現に、TOEFL® PBTテスト/TOEFL ITP®テストなどのTOEFL®テストのReadingセクションにおいては、各パッセージの最初の設問が“What is the main idea of the passage?”がほとんどでしたが、TOEFL iBT®テストのReadingにおいては大概はボキャブラリーやdetail questionなど、詳細を問う問題から始まります。つまり、最初からmain ideaを把握している必要はないのですよ、ということですね。

ですから「最初から全部を読む」のではなく、「回答に必要な部分から読み進め、結果的に全体を読むことになる」方が効率的です。いかに速くたくさん読むか、が問われる試験ではなく、いかに必要な箇所を正確に読み取るか、の方が重要です。

 

Reading 注意点 3 ―1 question 1 paragraph!―

注意点2に付随するポイントですが、私からは「1 question 1 paragraph」を提案させてください。これはクラスでも常に勧めています。どういうことかといいますと、「1パラグラフにつき問題が1つ」ということではなく、「1問出題される毎に、該当パラグラフを丸々読め」ということです。例えば簡単な例を出してみましょう。

Paragraph 1
The city of Teotihuacan, which lay about 50 kilometers northeast of modern-day Mexico City, began its growth by 200 –100 B.C. At its height, between about A.D. 150 and 700, it probably had a population of more than 125,000 people and covered at least 20 square kilometers. It had over 2,000 apartment complexes, a great market, a large number of industrial workshops, an administrative center, a number of massive religious edifices, and a regular grid pattern of streets and buildings. Clearly, much planning and central control were involved in the expansion and ordering of this great metropolis.
Moreover, the city had economic and perhaps religious contacts with most parts of Mesoamerica (modern Central America and Mexico).(source = TOEF iBT Quick Prep vol. 1, Reading Practice Set 1)

 

というパッセージのうちの1パラグラフがあります。そして1つ目の出題が、

 

The word massive in paragraph 1 is closest in meaning to

(A) ancient
(B) carefully planned
(C) very large
(D) carefully protected

 

というボキャブラリー問題だとしますね。このグレーがかった単語を見た瞬間に、ある程度のボキャブラリーを習得している方であれば、本文を読まずともすぐに正解が(C)だとわかるわけです。それはそれで時間の短縮にもなりますので、回答方法としては間違いではありません。

ただ今回私が提唱しているのは、このQ1の出題の時点で、その問題にただ答えるだけでなく、段落の最初から最後まで読んでしまえ、という意味での「1 question 1 paragraph」なのです。これをやる利点としては、

 

a) その次の設問も同じパラグラフから出題されている可能性があるので、二度手間を防げる
b) 最後に出てくるSummaryまたはTable/Chart問題で、いずれその段落の主旨や構成に理解が必要になる
c) 段落全体の文脈がわかることにより、その文脈における単語の意味がより的確にわかりやすくなる

 

と3つあります。実際、次の設問は

 

In paragraph 1, each of the following is mentioned as a feature of the city of Teotihuacan between A.D. 150 and 700 EXCEPT

(A) regularly arranged streets
(B) several administrative centers spread across the city
(C) many manufacturing workshops
(D) apartment complexes

 

となっていますので、Q1ですでにこのparagraphを読み通している人は、また戻って確認する必要もなく、正解の(B)を選べるわけですね。また仮にQ1の単語がわかりづらかった場合でも、段落全体の主旨や方向性を確認することで、ある程度使われ方を推測できるわけですね。
いかがでしょうか。Readingがある程度得意な方も含めて、少しでも無駄のない、かつ正確な回答方法とパッセージの読み方を身に付け、是非とも活かしていただきたいと思います。それでは今回のレッスンはここまでです。これで一通り4セクションの説明や攻略法に触れてきましたので、次回の連載からは、二巡目としてより細かくて深い対策方法に触れていきましょう。お楽しみに。

 

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五十峰 聖先生 
桜美林大学 芸術文化学群 特任講師

ETS Authorized Propell® Facilitator
ETS TOEFL ITP® Teacher Development Workshop Facilitator

#五十峰聖先生

 

 


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TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Writing)
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