TOEFL®テストのリーディングセクションにはどのくらいの語彙が必要でしょうか?応用言語学者がこのような「目標語彙サイズ」を算出する際の一手法として、テキストカバー率を用いた分析があります。テキストカバーとは「文中における既知語の割合」を指します(Nation, 2006)。例えば、TOEFL iBT®テストリーディングパッセージの平均語数は700語ですが、パッセージの中に知らない単語が35語あった場合、テキストカバー率は95%となります。
テキストカバー率と理解度の関係を研究したパイオニアであるLaufer (1989)は、リーディングで6割程度の理解度を得たい場合、95%のテキストカバー率が必要であるという研究結果を発表しました。近年のテキストカバー率の研究として、Schmitt, Jiang, & Grabe(2011)が行った研究があります。この研究でも、6割程度の理解度を得たいのであれば95%のテキストカバーが必要であるという結果が得られました。
上述した研究結果を基にした場合、TOEFLテストやセンター試験に必要な語彙サイズはどの程度になるでしょうか?TOEFLテストのリーディングパッセージで95%のテキストカバー率を得るには4,000ワードファミリーが必要であるという研究結果があります(Kaneko, 2018)。この結果はTOEFL iBTテスト、TOEFL ITP®テストどちらにおいても同様でした。センター試験の長文読解問題を対象に、同様に95%のテキストカバー率を得るのに3,000ワードファミリーが必要であったという研究結果(Kaneko, 2018)から、その差がわずか1,000ワードファミリーと考えられます。
6割を上回る理解度が必要である場合、98%のテキストカバー率が好ましいとされますので更に語彙サイズを増やす必要がありますが、TOEFLテストリーディングセクションの最初の目標語彙サイズとして4,000ワードファミリーの語彙サイズ習得を目指すことが好ましいと考えられます。次回はワードファミリーについて説明します。
【引用文献】
- Kaneko, M. (2018, August). Lexical frequency profiling of the National Center Test and the TOEFL(R) Test: Focusing on vocabulary size targets for the reading sections and coverage of the Academic Word List. The 57th JACET International Convention. Convention conducted at JACET, Sendai, Japan.
- Laufer, B. (1989). What percentage of text-lexis is essential for comprehension? In C. Lauren & M. Nordman (Eds.), Special language: From humans thinking to thinking machines (pp. 316-323). Clevedon, England: Multilingual Matters.
- Nation, I.S.P. (2006). How large a vocabulary is needed for reading and listening? The Canadian Modern Language Review, 63(1), 59-82.
- Schmitt, N., Jiang, X., & Grabe, W. (2011). The percentage of words known in a text and reading comprehension. The Modern Language Journal, 95(1), 26-43.
上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。
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