【インタビュー】「Science Olympiadへの挑戦」第12回 科学の甲子園優勝校 栄光学園中学校・高等学校インタビュー

栄光学園中学校・高等学校インタビュー

ETS Japanは、全国の高校生が、理科・数学・情報等の複数の分野で科学の力を競う「科学の甲子園全国大会(主催:科学技術振興機構)」に協賛しています。2023年3月に行われた「第12回科学の甲子園全国大会」の優勝校には、米国にて開催される全米の科学好きの高校生が集う「Science Olympiad」への参加資格と、2日間の英語研修が授与されました。今回は「第12回科学の甲子園全国大会」で優勝し、「Science Olympiad」に参加された、神奈川県代表・栄光学園中学校・高等学校のみなさんと、顧問の塚本英雄先生に、Science Olympiadでの感想・事前の英語研修・今後参加する学生に向けてのアドバイスなどお伺いしました。

 

 目次
 競技の感想
 事前英語研修のこと
 今後日本から参加する後輩に向けてメッセージ

 

競技の感想

各競技に参加するにあたり対策したことや、今後日本から出場する後輩に向けてアドバイスを伺いました。

引用元:Science Olympiad Inc., OFFICIAL WINNER PHOTOS より

Scrambler(参加者:中村陽斗さん、加藤奏さん)

中村さん
今回の競技のポイントとしては、壁のギリギリ近くまで卵を近くまで持っていって止められるのか、ということと、センターラインがあるので、そこからどれだけ左右に外れる誤差を抑えるかっていうところになります。 まっすぐ走らなきゃいけないので、機体直進性能はもちろんですが、ランチャーを最初にセットする時にかなりずれてしまうので、やはりそこも発射装置をセットする方法を事前に何回か試行錯誤しました 3Dプリンターで部品の大部分を作っていたこともあって、機体の制作に大分時間を使ってしまったので、その他の発射につながる直進性能の調整をして競技に適用するまでにかける時間がなかなか取れませんでした。
加藤さん
ルールブックを読んだうえで具体的な構造については、大会が提示してくれているものを採用しました。 実際に渡米前に実験を何回も行いログも取りながら練習をしました。 発射装置は大きすぎて運べないので組み立て式にして現地に持っていきました。機体は本番に組み立て直すと歪みが出て、走る経路が変わってしまう可能性があったので、他の学校と比べると小さめな機体になりましたが、渡米前に作ったものをそのままアメリカに持っていきました。

 

Scramblerについて
落下する塊からのエネルギーを利用して卵を直線軌道に沿ってできるだけ早く運び、ターミナルバリア (TB) の中心近くで停止させる競技。 競技の詳細はこちら

 

Green Generation(参加者:中村陽斗さん、成山優佑さん)

中村さん

Green Generationでは、環境問題が出題されます。生物学的な生態学に関する筆記テストです。やはりアメリカの大会ということもあって、英語で問題を解かないといけないので、公式サイトがまとめている練習問題を読んで英語での解釈ができるように勉強しました。あと日本の問題には絶対出ないアメリカの環境に関する法律なども出題範囲になっていたので、そういうものも勉強をしました。

また作戦としては、成山さんが地学を勉強していて私が生物をやっているので知識は最低限大丈夫だろうと思い、どうやってスピーディーに解いていくかという視点で戦略を立てました。成山さんの方が英語を読むのが断然早いので解釈をお任せして、私が日本語の解釈で上がってきたのを聞いて考え、2人で相談して解きました。

成山さん
Green Generationは、競技の中では英語力が必要なものですが、意味がわからない単語はネットで調べたり電子辞書で調べれば出てくるので苦労はなかったです。ただ、自分の中では英語で理解ができても日本語にして中村さんに伝えるときに、適切な表現が出てこなくて難しさを感じました。

 

これから挑戦する方へのアドバイス

中村さん

ルールブックに制限時間が50分と書いてあったので、問題がまとめられている冊子があってそれを解くのだと思い対策をしていました。どうしても分からない単語は切り捨てて分かる問題に全力を注ごうと思っていたのですが、実際は形式が全く異なりました。まず会場に机が12台ぐらい並べられていて、1台1台に7~8題の問題が貼ってありました。3.5分の制限時間で1台に貼ってある7~8の問題を解いて終わったら、また次の机に移動してみたいな感じでした。そういったこともあり、英語を解釈するのに一番時間を多く使ってしまい、出来る問題に集中するという作戦も全然できなかったです。 

細かい制限時間で切られてしまうと、やっぱりいつもどうしても20、30秒で解かないといけなくなってしまって、理解してからその問題を解くっていうところに全く時間を使うことができなかったので、選択肢といってもかなり限界がありました。

 

Green Generationについて
一般的な生態学的原理、人間が環境に与えた影響の歴史や傾向を逆転させるための解決策、持続可能性の概念についての理解を実証する競技。競技の詳細はこちら

Write It Do It(参加者:山口敦史さん、金是佑さん)

山口さん

競技に向けて、まず始めにインターネットにある情報をかき集めました。またアメリカの州大会に向けて開かれた講座のアーカイブを見返して、自分たちでも使えるような有効な戦略を一通り拾い上げ、自分たちはどうしたらいいか考えました。Writer(書き手)とDoer(実行役)と別れるのですが、私がDoerで金さんがWriterをやりました。二人の間で解釈の違いが起きないように、戦略をまとめて「こういう風に書いてくれれば理解できる」「全て書かなくても理解できる伝え方」などポイントを共有しました。後はひたすら時間が許す限り練習をしました。

これから挑戦する方へのアドバイス

金さん
ちょうど文化祭の責任者をしていたこともありまとまった時間が、1週間ほどしか取れませんでした。Write It Do Itは図や絵は使ってはいけないのですが、日本語は使えました。カタカナひらがな漢字はすべて使えるので、立体的なことなどを表現する時には英語に比べて有利だったと思います。

 

Write It Do It について
2人1組で行う競技で、1人はどのように組み立てるのか説明を書き、それに基づいてもう1人の生徒がそのオブジェクトを構築する競技。競技の詳細はこちら

 

Chem Lab(参加者:山中秀仁さん、真野恵多さん)

山中さん
私は日本の高校の熱力の範囲を頑張って勉強しました。熱力学をやっている友達に直接聞いたりLINEで聞いたりして対策をしました。
真野さん

筆記問題と実技問題が出されるのですが基本的に過去問が公開されているのでそれを解きました。工夫したことは山中さんと2人でGoogleドキュメントで情報を共有したことです。問題を解いて自分が知らなかったことや知識を、そのドキュメントに書いていって、2人で共有したりとか、そういうのをしていました。

これから挑戦する方へのアドバイス

真野さん
立った状態でゴーグルと白衣を着て問題を解くこともあり汗ばみます。リラックスできるような状況ではないので、本番を再現して練習をしておいた方がいいと思います。

 

山中さん
ゴーグルが曇って良く見えずに苦労しました。普段眼鏡をしている人はワンデイのコンタクトや曇り止めなど持っていくといいと思います。
Chem Labについて
ガスおよび熱力学に関する実験を行った後、化学の科学的プロセスにおける一連の質問に解答する競技。競技の詳細はこちら

 

Forensics(参加者:武田恭平さん、加藤奏さん)

武田さん
加藤さんが別の競技にも出るので、基本的に加藤さんに手を動かすという作業をすべて任せして、私が知識面を全て覚えるという形で役割分担をしました。主に行なった対策としましては、Science Olympiadについて情報がまとめられたサイトを一通り目を通してある程度理解を深めたり、本番に起こるであろうことを想定しながら過去問を確認しました。もちろんすべて英語で書かれていましたが、問題なく理解することはできました。また実験の予行練習も学校の科学教室を借りて行いました。

これから挑戦する方へのアドバイス

加藤さん 
実験全体を一通り通しでやって経験しておくと本番でスムーズに実験ができると思います。例えば、学校で教室を使わせてもらった時には炎色反応の実験をやりました。粉の分析の実験の一つだったんですが、それ以外の実験も一回やっておくと短い時間で実験を終えることができたかなと思います。

 

Forensicsについて
事件現場に残された物的証拠を分析して犯人を特定する競技。英語の資料が与えられ、記述された内容を読み、実験や検証を行い根拠を述べて犯人を割り出す。証拠やデータは物理、科学、生物などの分野にまたがった物証が残されている。論理的な思考と計算力、実験力など総合した科学の技量が問われる競技。 競技の詳細はこちら

 

事前英語研修

研修は2日間行われました。1日目は①Science Olympiad参加の目的とゴール設定 ②英語力チェック ③競技の概要理解、2日目は「競技の対策発表と質疑」という流れで行いました。
成山さん
科学の甲子園の時も、相手の担当科目について何をやっているなどの、そういった混み入った話はしませんでしたが、研修ではだれがどの競技をやるか発表されました。実際各自の担当について話をしてみると、別のチームメイトたちが何をしているのか、ということやどんなことをやっているのか、というのを知ることができ、例えばどんな対策をするかを自分の競技に活かすことができました。科学の甲子園の時は、みんなで一緒にやったんですが、筆記の時は個人まかせだったので、ちゃんと話し合うというのは新しい対策方法だと思いました。

 

中村さん

英語研修では最初に英語のミニテストを行いました。そのテストの中にあった科学的な文書やサイエンスを主題とした文章を読むことは、競技の前の良いウォーミングアップになったと思います。

 

武田さん
研修全体で教えていただいた考え方といいますか、用意される時間が少ない中で行動するのは大変ということもありますが、自分たちの優柔不断さや腰を上げることの遅さだとか、そういったところが認識できました。またアメリカの方々は、すぐに行動するということを知り、心構えが少しでき非常に助かりました。ありがとうございました。

 

今後日本から参加する後輩に向けてメッセージ

実際に現地で感じたこや気が付いたことなど、今後日本から参加する後輩に向けて競技以外で伝えたいことを伺いました。
武田さん

私と金さんは競技中に現地の学生からインタビューを受けたこともあり、やはり英語はとても大事だと思いました。現地ではインタビュー以外でも英語を話す機会があったのですが、言葉が詰まって、言いいたいことが言えないこともあったので、言葉に詰まることなく話せるレベルまで自分を持っていきたいと思いました。

 

山口さん
アメリカの同年代でしかも科学に興味がある人と交流できる機会はめったにないと思うので、積極的に発言してコミュニケーションを頑張ってとろうと思いました。連絡交換をした学生とは、帰国してからもやり取りをしています。このような機会を活かすためにも、来年Science Olympiadに参加する学生には英語を頑張ってほしいなと思いました。

 

成山さん

現地の人たちの発音を聞き取るのに苦労しました。普段の学習ではリスニング用に綺麗に調整された音声を聞いていますが、現地ではギャップがあり聞き取りにくかったです。また英語を読むのに時間が掛かり、競技の時間が足らなかったです。英語で書かれた問題を英語でスラスラ読める練習をもう少し積めていけたらよかったと思いました。単語は専門的なものが出てくるので、通訳の方に頼んでも正しい意味がとれないこともありました。そういったこともあり問題を解いて、練習を積み重ねた方が良かったかなと思います。 

また英語以外のことだと、現地の高校生は学校ごとにユニフォームを作って着ていました。中には学校名を元素記号で表現したりユニークな学校もあったり一体感が出ていました。現地の学生との会話のきっかけにもなるし用意するといいと思いました。
また、Swap Meet(*)で現地の石を配っていた学生がいました。私も当初持っていくか悩んで断念したのですが、持っていけばよかったと後悔しています。

 

加藤さん
私はお土産について伝えたいことがあります。後々、空港で値札を見て後悔することになるので、お土産は現地のスーパーで購入するのがおススメです。
武田さん

会場となったウィチタ州立大学があるカンザス州の気候も関係あるかもしれませんが、Science Olympiadでハイテンションになって話し続けてしまい、喉が痛くて声が出せず会話があまりできなかったです。参加されるみなさんもテンションを抑え気味にした方がいいかと思いました。

 

 

(*)Swap Meet…各州代表チームと記念品交換を行う交流の場

 

 

プロフィール

栄光学園中学校・高等学校
1947年にイエズス会によって設立された中高一貫の男子校。生徒一人あたりの校地面積は首都圏で指折りの広さ。キリスト教ヒューマニズムに基づき、生徒一人ひとりが自ら課題を見いだし自己の可能性を最大限に伸ばさせること、生徒自身の能力を他者とともに他者のために用いる精神を育てることが教育の目標。フィリピンの姉妹校との交換留学や米国ボストンカレッジでのリーダーシップ研修など、国際交流も盛んに行われている。
Webサイト:https://ekh.jp/
国立研究開発法人 科学技術振興機構
科学技術振興機構(JST)は、日本の科学技術の発展を牽引する組織として、科学技術を支える人材の育成にも注力している。『科学の甲子園全国大会』はその一環として、2011年度よりJSTが開催している高校生の科学コンテストである。
科学の甲子園 Webサイト:http://koushien.jst.go.jp/koushien/

 


上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。


 

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SpeakingはETSが公表しているスコア基準表に沿って採点されます。採点基準はIndependent Task用・Integrated Task用にそれぞれ作成されており、Delivery(話し方)/Language Use(語彙の使い方)/Topic Development(トピックの展開)の大きく3つのポイントに分かれています。

TOEFL iBT Writing Section Scoring Guide TOEFL iBTテスト スコアガイド (Writing)

TOEFL iBT®テスト スコアガイド(Writing)
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