第16回 授業での実践事例 | 創価大学 高玉美葉子先生

 

テストを通した自律的学習者の育成 — 「5ステップ+1」学習プランニング

本学では、TESOL修士号を持つ教員アドバイザーを中心に、English Consultation Room(ECR)で学生に英語力向上へのアドバイスを行っており、TOEFL iBT®テスト受験希望者も多く訪れます。一般的に、語学テストというと「何時間の学習でどのぐらい点数が上がるか」「どの参考書や勉強法が効果的か」といった特効薬的なアドバイスが求められがちで、個々の学習者のニーズとスタイルに合った学習プランニングが置き去りにされる傾向があるのは、非常にもったいないことだと考えています。TOEFL iBT®テストは個々の学習者の弱点の特定に有効であり、その弱点を克服することで、点数の伸びと同時に留学先での成功に必要なスキルや知識を伸ばしていくことができます。そのために私のECRセッションで用いているのが、「5ステップ+1」に基づく学習プランニングです。

 

 目次
 「5ステップ+1」学習プランニング
   ステップ1:TOEFL®テストを知る
   ステップ2:TOEFL®テストの問題パターン/評価基準を知る
   ステップ3:TOEFL®テストを通して自分の弱点を知る
   ステップ4:弱点を克服するための勉強法を知る
   ステップ5:その勉強法を実行するスケジュールを立てる
   プラス1:学習スケジュールの実行と振り返り

 

「5ステップ+1」学習プランニング

ステップ1:TOEFL®テストを知る

受験可能日、テストの構成など、TOEFL iBT®テストを理解するために学生自身でできる情報収集を行います。

ステップ2:TOEFL®テストの問題パターン/評価基準を知る

各セクションの問題パターン(リーディング・リスニング)/評価基準(スピーキング・ライティング)と、そのパターン/基準がどのようなスキルや知識を必要としているかを理解します。(例:Factual Information Questionはスキミングとスキャンニングを組み合わせたリーディングスキルが有効、など)

ステップ3:TOEFL®テストを通して自分の弱点を知る

TOEFL®テストの問題に実際に取り組み、間違えた問題、自信がない問題、時間がかかった問題をリストアップします。その後、なぜ間違えたのか/時間がかかったのかを分析し、スキル・知識の弱点を特定します。

ステップ4:弱点を克服するための勉強法を知る

例えば語彙の知識不足が弱点である場合、学生は単語帳などのボトムアップの語彙学習のみに頼る傾向があります。この場合、TOEFL®テストのリーディング素材を生かしたトップダウンの語彙学習を組み合わせることで、コンテクストと結びついた語彙の理解と、語彙数の向上という双方向から語彙習得を行うことができます。

ステップ5:その勉強法を実行するスケジュールを立てる

弱点を克服するための勉強法が決まったら、オーダーメイドの学習プランを作成していきます。ウィークリースケジュールの可視化、また、アイゼンハワーマトリクス(重要度・緊急度に基づいたタスクの分類)を利用したタスクの優先順位付けなどを行い、実行可能な学習スケジュールを立てます。

プラス1:学習スケジュールの実行と振り返り

本学の竹内香織助教(*1)の研究を基に加えられたステップです。完璧に見えるオーダーメイドの学習プランを立てても、実際に学習を進めていくと様々な壁に直面します。この「プラス1」ステップにおいて、壁に直面することをポジティブに捉え、意識的に振り返りを行い、また助言を求めることで、壁を成長の1ステップにしていくことが可能です。

▲ 英語学習相談室(ECR)のセッション

 

一度のセッションで全てのステップを理解し進めていく学生もいれば、特定のステップでECRに戻ってくる学生もいます。いずれにしても、TOEFL®テストへの取り組みを通して、学生が自身の弱点とそれを克服するための学習プランニングを行えるのが「5ステップ+1」の強みです。今後もセッションを通して、TOEFL iBT®テストを自らの英語力、思考力、アカデミックスキルの弱点を教えてくれるパートナーとして生かし、留学、そしてその先の成功へと自律的に学びを進めていく学生を育てていきたいと考えています。

(*1)Takeuchi, K. (2019). Self-regulated learning of Japanese university students in second language acquisition. The Bulletin of Graduate School, Soka University, (39), 169-196.

 

創価大学 ワールドランゲージセンター 助教
高玉美葉子先生

児童英語講師として幼稚園・保育園の英語教育に4年間携わった後、創価大学大学院国際言語教育専攻TESOL専修課程を修了。教育学修士(TESOL)。現在、創価大学ワールドランゲージセンター助教として、共通科目の英語および英語学習相談室を担当すると共に、ランカスター大学 Centre for Higher Education Research and Evaluationの博士課程に所属。高等教育における多様性を主テーマに、世界市民教育、美術を通した英語教育、グローバル時代のアカデミックライティング等のトピックで研究・実践を行っている。

創価大学
1971年、「人間教育の最高学府たれ」「新しき大文化建設の揺籃たれ」「人類の平和を守るフォートレス(要塞)たれ」を建学の精神に掲げ開学。グローバルなステージで新たな価値を生み出す「創造的世界市民」の育成に力を入れている。文部科学省「スーパーグローバル大創成支援」の採択校として、キャンパスの国際化を着実に推進し、2018年2月の中間評価では最高の「S」評価を得ている。
URL:https://www.soka.ac.jp/

 


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サポート・関連情報

団体・教育関係者対象セミナー・イベント・ワークショップ・学会

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TOEFL iBT®︎テスト特別受験制度

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TOEFL®︎テスト日本事務局では、教育機関・企業等の団体を対象にしたTOEFL iBT®︎テストバウチャーを取り扱っています。
団体がバウチャーを事前に購入、受験者にバウチャーを提供いただくことで、TOEFL iBT®︎テスト受験料の日本円での一括払いが可能になります。

 

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TOEFL ITP®テスト
TOEFL ITP®テストプログラムは、学校・企業等でご実施いただける団体向けTOEFL®テストプログラムです。団体の都合に合わせて試験日、会場の設定を行うことができます。全国500以上の団体、約22万人以上の方々にご利用いただいています。

ライティング指導を効率的に Criterion®
Criterion®(クライテリオン)を授業に導入することで、課題管理、採点、フィードバック、ピア学習を効率的に行うことを可能にします。

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