第24回 授業での実践事例 | 東京都立足立東高等学校 鈴木省三先生

ALTとICT端末を利用した授業実践例

TOEFL iBT®テストPropell® ワークショップを受講し、前任校で海外帰国生徒向けの授業を受け持っていた時に実施していた授業が似ていたので、その内容についてお話します。学習者の実力はすでに英検2級か準1級を合格した生徒の集団で、すでに母国語のように運用できる生徒もいれば、英語圏以外の国で生活していた生徒もいて、英語塾などに通って英語力を高めた生徒もいました。そのため、運用能力に差があり、英語力を高める授業というより英語を使って何かしようと授業の構成を考えました。

当時はコロナ禍の影響でオンラインでの授業が中心になったため、これまでと違った新しい学びになりました。そして、ピンチをチャンスに変えるという思考でICT端末を中心とした授業とALTとのティームティーチングを実施することにより、英語運用能力を向上させようと試みました。海外大学への進学を考える生徒が複数いたこともあり、TOEFL iBTテストやSATの問題を参考にしながら、「思考・判断・表現」を育てる授業を展開することを目的としました。

まず、スピーカーの話を聞いてからコメントし、その内容の質問をするという一連の流れを作りたかったので、「自分が住んでいた街」というテーマでオンラインで実施し、Google mapのストリートビューを利用して発表をさせました。誰もが知らない街並みであったためリスナーは興味と関心を強く持ちながら、聞いていたので、しっかりしたコメントと質問ができました。最後はALTが質問することで、回答の内容に深みをもたせることもできました。

しかし、内容が通り一辺倒になってしまうことがあり、もう少し経験を活かした根拠のある回答を生み出さすためには、「読むこと」と「書くこと」の活動が必要だと考えました。まずこだわったのは「Unity」で、「narrative essay」を手始めに取り組みました。しかし、いきなり書けるものではないので、ALTのModel Essayを書いてもらい、ポイントを伝えました。また、1度書いて添削して終わりにせず、内容と表現の仕方、経験に基づいた根拠にこだわりました。学習者は大変だったと思いますが、書き直しを繰り返していくうちに、自分の考えを述べるときに説得力のある内容になっていきました。この時の提出はすべてWordで作成させ、メールで実施をしました。

また、まだ経験の浅い学習者なので、読書量を増やしたいと考え、次のステップとして多読に取り組みました。そして、Book Reportを必ず提出させました。この目的には読書量を増やすことの他にもう一つあり、要約ができることとパラフレーズができることがありました。自分の言葉で説明できるようにリテリングを取り入れた発表授業も実施し、語彙力向上にもつながり、また自分の考えと意見を正対しながら論理的に言えるようにもなりました。

最後に取り組んだのはディベートになります。これまでの総まとめとして実施しました。話をメモする、それについて回答をする、これを繰り返すことによってスピーキング問題への正対と自分の考えが論理的に表現できるようになりました。

学習者の4技能のスキルを向上させる内容としては効果的でした。今後、海外への進路を考えている生徒への取り組みとして、ロードマップを作成し、シラバスを確立させれば、高い英語運用能力を育成できるのではないかと感じました。

 

鈴木 省三先生
東京都立足立東高等学校 主幹教諭

民間企業に勤務したのち、大学進学。卒業後、東京都と千葉県の私立中高一貫校に16年勤務し、現在は東京と公立学校で教鞭を執る。
私立学校時代は進学指導を中心に授業展開を進めてきた。教職経験を重ねていくうちに、海外志向の生徒も増え始めてきたので、少しずつシフトチェンジするにはどうすれば良いかと考え、ELEC同友会の会員になり授業方法の改善を図った。
現在取り組んでいる4技能の統合活動を展開する授業の進め方や評価方法などを研究している。

 


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