第11回 授業での実践事例 | 元浅野中学・高等学校 河野周先生

 

ディベート入門一歩手前 論理的に英語を話す力の鍛え方(授業でできる練習法)

 

 目次
 0. はじめに
 1. 役割決め
 2. スピーチの準備
 3. 一人目のスピーチ
 4. 二人目のスピーチ
 5. ジャッジのコメント
 6. 次のラウンドへ

 

0. はじめに

『ディベート入門一歩手前 論理的に英語を話す力の鍛え方(個人でできる練習法)』では、論理的な英語を話す力の鍛え方に関して、個人でできる練習を紹介させていただきました。今回は、授業の中での方法論について述べていきます。

論理的に英語を話す力を鍛える方法としては、学習指導要領でも推奨されているように、授業内でディベートを行うことが挙げられると思います。しかしその一方で、ディベートをやるためには、生徒の力がまだ足りないといった声や、ディベートを授業でやったとしても、ただ勝ち負けだけにこだわって終わってしまうという声がよく聞かれます。

そこで今回は、論理的な英語力を鍛えるために、ディベートよりも簡単な方法で、しかも、ディベートに役立つトレーニング方法を紹介させていただきます。

その方法というのは、ディベートのように賛成側・反対側に分かれて議論を闘わせるのではなく、同じ立場でスピーチを行わせ、どちらのスピーチの方が説得力があったかを比較するというものです。以下、具体的な手順について述べていきます。

1. 役割決め

3人1組のグループを作ります。そこで、一人目のスピーカー・二人目のスピーカー・ジャッジの3つの役割分担を決めます。

*3人1組でできる活動なので、クラスの人数が多くてもできるのが一つのメリットです。実際、この活動をしたときのクラス人数は46人でした。この人数だとディベートの試合をするのが難しいと判断し、この形を導入しました。

2. スピーチの準備

割が決まったら、トピックを提示し、準備を始めます。準備時間の目安は1~2分になります。

ここで重要なことは、ディベートとは異なり、賛成側・反対側に分かれるのではなく、各スピーカーが同じ立場でスピーチを考えるようにします。

例えば、トピックが「タバコを廃止すべきだ」とした場合、二人のスピーカーが同じ立場(タバコは廃止すべきだ)で、スピーチを考えさせます。

3. 一人目のスピーチ

準備時間が過ぎたら、すぐにスピーチを始めさせます。一人目のスピーカーの難しいところは、あまり準備時間がないことですが、そうすることで、即興力を鍛えます。

4. 二人目のスピーチ

続いて二人目のスピーカーがスピーチを行います。ここで大事なのは、一人目のスピーカーが使用したアイデアや表現とはできるだけ異なるものでスピーチをさせることです。こうすることで、一人目のスピーカーと同じく、即興力を養うことができます。

5. ジャッジのコメント

二人のスピーチが終わったら、ジャッジはどちらのスピーチの方が説得力があったのかを考え、その理由を述べます。ここでのポイントは、どのようなスピーチが説得力を持っているのかを考えさせるということです。

実際のディベートの場合は、そもそも賛成側と反対側の考えが異なるので比較が難しいのですが、同じ立場であると比較がしやすくなるので、それを利用して、より良いスピーチとは何かを考えさせます。

6. 次のラウンドへ

この一連の流れが終わったら、それぞれの役割を交代します。3セット行うことで、生徒は全ての役割を経験できることになります。そして、これにより、生徒自身が自らのスピーチを客観的に評価できるようになるのです。

 

 

 

[参考Webサイト]
達セミに学ぶ 英語学習のヒント『ディベート入門一歩手前 論理的に英語を話す力の鍛え方』(個人でできる練習法)

 

河野周(かわのあまね)先生
上智大学大学院にて心理学を専攻し、英語力と批判的思考力の関連を研究。研究の傍ら、ディベート部に所属し、英語ディベート全国大会年代別トーナメントで優勝。その後、英語科専任教諭として浅野中学・高等学校に勤務(2013~2017年)。ディベート部の顧問として、生徒を英語ディベート全国大会3位に2度導き、世界交流大会にも招待チームとして出場。また、本人もディベート活動を継続し、社会人英語ディベート全国大会優勝(2014年)、教員英語ディベート全国大会優勝(2015年)、高校生英語ディベート全国大会最優秀ジャッジ賞を受賞(2016年)。現在は、University of Sydney(ディベート世界大会最多優勝校)の大学院に留学中。

 


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