どうやってTOEFL®テスト型の問題に慣れてもらうか
広島女学院高等学校では高校1年生の選抜30名と高校2年生以上の有志の生徒、合計三十数名に対して TOEFL iBT® テスト対策の授業を行っています。
クラスの生徒は帰国子女もいれば英検3級レベルの生徒もいるなど、クラスの中での差が大変に大きいため、レベル別にクラスを2つ(「中級」クラスと「上級」クラス)に分け、片方の授業を行っている時はもう片方は自習、というスタイルで授業を進めています。自習の時間は洋書の多読やe-learning を行います。
普段の高校の授業では英語を話す機会がほとんどない状況なので、本授業では意識して英語を話す時間を増やすようにしています。話す練習は例えば以下のようにして行います。
- ・全員立ち、ペアを作る
- ・TOEFL iBTテストスピーキング独立型タスクを意識した、自分の意見を言う課題を出す
- ・45秒でその問いについて相手に自分の意見などを話す
- ・相手を変え、同じことを行う
- ・全部で3~4回同じことを行い、少しずつ話す内容を洗練していく
こうすることにより、全員がバランス良く話す機会を持て、さらに相手から聴いた表現を自分で活用でき「インプット→アウトプット」の流れも同時に練習することができます。
スピーキングタスク3以降の課題を意識した活動は以下のように行います。
- ・教師が文章を読み上げ、それをメモしながら聴く
- ・メモを見ながら相手に対して先ほど聴いた話を自分の言葉で言い直す
この練習は、クラスを半分に分け、片方ずつ違う意見を聴かせてから行うこともあります(相手の知らない情報を伝えるという状況を作るため)。
難しいのが読解や聴解などのインプット系の課題です。「上級」クラスと言っても高校1年生ですので、レベル的にTOEFL iBTテストレベルの問題は難しすぎるため、そのままでは使えません。
結局、TOEFL® テストに出題されるタイプの話題や単語に慣れてもらうため、英語で書かれた小学・中学レベルの理科・社会の教科書を利用することにしました。読解の際は3~4人の班を作り、全員で音読しながら協力してわからない部分を解決してもらいます。教師は常に巡回し、生徒だけでは解決できなかった質問に答えます。文章には問題も付いているので、その解答と答え合わせも班ごとに行います。さらに、読解が終わったグループは文章を繰り返し音読し、内容を定着させます。
聴解の場合は、難易度にもよりますが、まず難解な語彙を教えます。その後音声を聴かせて問題を解き、生徒同士で解答チェック、全体で答え合わせをした後にスクリプトを配り、その後は上記の読解と同じ作業を行います。
時間がある時は一度読解した文章を、メモを取りながらもう一度聴き、その内容を口頭や筆記で再現する練習も行います。これは統合問題を意識した練習です。
週に1回各45分しか授業時間がないため、できることはかなり限られるのですが、試験の形式や内容に慣れてもらう事を最優先で授業に当たっています。
広島女学院中学高等学校 今西一太先生
広島県広島市出身。広島大学総合科学部卒業、東京大学大学院修士課程修了、同博士課程満期退学(言語学専攻)。専門は言語学(記述言語学、台湾原住民語)および外国語教育(英語、ドイツ語)。2012年、広島市で英語塾「School Imanishi英語学院」を立ち上げ、中高生から4技能のバランスの取れた英語力を身に付けるための英語教育を行う。現在、School Imanishi英語学院講師、広島大学講師、広島女学院中学高校講師などを務める。
1886年創立、アメリカ人女性を初代校長に迎えたミッションスクール。創立以来、学校の一日は礼拝で始まる。聖書にある「隣人愛」を礎に、ヒロシマにある学校の使命として、平和、人権、グローバル教育を通して平和を希求し、自己と他者の人権を大切にできる人材を育んでいる。スーパーグローバルハイスクール指定2年目。海外研修として、アジア(韓国、カンボジア、ミャンマー)や英語圏の国々(アメリカ、オーストラリア)に生徒を派遣するだけでなく、国内の学校との交流も盛んである。
URL:https://www.hjs.ed.jp/
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団体・教育関係者対象セミナー・イベント・ワークショップ・学会
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団体対象TOEFL iBT®︎テストバウチャー
TOEFL®︎テスト日本事務局では、教育機関・企業等の団体を対象にしたTOEFL iBT®︎テストバウチャーを取り扱っています。
団体がバウチャーを事前に購入、受験者にバウチャーを提供いただくことで、TOEFL iBT®︎テスト受験料の日本円での一括払いが可能になります。
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