Criterion®(クライテリオン)導入校
東京大学教育学部附属中等教育学校 外国語科 教諭
戸上和正先生
3月に開催された教育機関向けライティング指導ツールのCriterion®(クライテリオン)オンラインセミナーでは、東京大学教育学部附属中等教育学校の戸上和正先生に登壇いただきました。今回はセミナー内でのお話をまとめました。Criterionを使った効果的なライティング指導の成果をお話いただきました。ぜひご覧ください。
- 目次
- Criterionの導入の経緯をお聞かせください
Criterionの授業でのご使用方法について教えてください
授業でCriterionの使用を開始するタイミングについてお聞かせください
Criterion導入によって生徒や先生ご自身の変化などはありましたか
エッセイの内容面の評価はどのようにされていますか
機械翻訳についてはどのようにお考えですか
Criterionの使用感をお聞かせください
Criterionの使いにくい点を教えてください
それでは最後に、CriterionやETSに今後期待することや、先生のご展望についてお話を伺ってもよろしいでしょうか
Criterionの導入の経緯をお聞かせください
Criterionの主旨としては、エッセイの構成をしっかり捉えて、「これで大丈夫ですか」って聞いてくれるんですね。「添削してしまわない」というのが特徴だと思って、ずっと利用させてもらってます。
Criterionの授業でのご使用方法について教えてください
ここ数年は高校3年生の「英語表現II」で使っています。4単位の科目なんですけど、本校では2単位ずつ分割で履修させる形を取っていて、高1で「英語表現I」、高2、高3で「英語表現II」を2単位ずつ取ります。新カリキュラムの「論理表現」がI・II・IIIと2単位ずつ分かれてますけど、ちょうどそれを先取ってやってるような感じですね。
年間の基本的な流れとして、(トピックの種類を意味する)「モード」をCompare and Contrastから始めてExpository、そして最後にPersuasiveという順に流していきます(資料2)。
私は形式面の指導というのは、内容面の指導と連動すると感じています。例えば、Compare and Contrastのライティングスタイルの中に”point by point”と”block”の2つの手順がありますが、どちらの方が「説得力を持たせられるか」や「読み手にとって分かりやすいものになるか」というのを考えながら中身を構成させるようにしています。
形式面をCompare and Contrastでまずやって、次にボディの充実をExpositoryでやって、そしてそれらを含めた全てをPersuasiveでやって完成させるという年間の流れを作ってます。
授業でCriterionの使用を開始するタイミングについてお聞かせください
原則、年間で3つくらいのトピックはこなしたいと思ってるんですけど、年によって開始時期の違いとかもあったり、生徒の動きもあるので、そのあたりは前後します。Criterionでの提出の回数については、一つのトピックに対して2回提出します。1回提出して返ってきたものに対して、フィードバックした上でリバイスさせて出すわけですから、最低2回は必要になってくる。こちらも完璧を目指させるということよりも、構成部分でよりうまく書けるかとか、中身の部分でもう少しボリュームを増やすとか、そういったことが2回目で出来れば十分と思ってます。
見逃してしまったミスとか、そういったことは個人で対応できればいいと思っています。授業の中で1回目書かせて、すぐに2回目ってやるよりは色々中身の構成プランをしっかりとやった上で、次の週までにCriterionで提出しておきなさいと。そこがまたオンラインのいいところですよね。それでやってきたものを、ピアやグループの総合評価で中身を確認しつつリバイスをしていくと、そのリバイスはその授業内でやるっていうようなことを目標にして動いています。
以前実施した生徒アンケートの「同じトピックを2回サブミットする意味があると思いますか」という質問では、多くの生徒が意味があると感じているという結果になりました。(資料5)
Criterion導入によって生徒や先生ご自身の変化などはありましたか
・冠詞の扱いに意識的になった
・自分で文を書くので理解できる文法と分からない文法を知ることができるなど、言語形式面の気付きの部分が一番多いです。
更に、
・受験勉強として単語や文法をインプットしたものをアウトプットできる良い機会になった
というように、外部試験や受験に有用であるといった発言もありました。私がこの授業でCriterionを使っている意味のところで反応してくれた回答としては、
・日常的に英語で文を書き出す練習ができたので良かった
・英語で長文を書くことに全く慣れていなかったが、書けるようになった
・文章の書き方の構成を学ぶことができた
こういう声は毎年聞くことができます。
エッセイの内容面の評価はどのようにされていますか
エッセイは何のために書くのかっていうと、当然伝えたいことがあるからですよね。そうするとフリーライティングみたいに自由なテーマで書かせる方がいいと思うかもしれません。しかし、いろんな内容に分散してしまうと指導面で収拾がつかなくなってしまいます。そのために、先ほど述べた通り、最初はライティングスタイルを指定して、トピックについても、教員として生徒のことを理解している私が、彼らのエッセイの内容がある程度予測のつくトピックを選んでいます。生徒間での内容評価についても、生徒が相手のエッセイの内容を見て動く為には、どのポイントに対してどういうコメントを出してあげたらいいかっていうのも考えさせなければいけないので、提出された内容を印刷して並べて一緒にサンプルとして見せて、「こんな感じでコメントしてあげてね」ということを伝えます。
こういうことは、テーマを広げすぎないからこそできるようになります。
このように、内容は重要だよってことを伝えて、自分たちでも評価しあえるんだよっていう経験を通させます。それが内容面の評価に関して気を使っているところですね。
機械翻訳についてはどのようにお考えですか
Criterionの使用感をお聞かせください
Criterionの使いにくい点を教えてください
スコアリングの根拠にちょっと疑問が出る場合が多少あります。それは機械ですので仕方ないところはありますね。
あとはトピックが時代を反映していないものが最近出てきてます。
また、ファーストドラフトとセカンドドラフトを並べて比較して分析したいんですが、それはできないんですよね。そういったことを改善していただけると、より使いやすくなるかなと思います。
それでは最後に、CriterionやETSに今後期待することや、先生のご展望についてお話を伺ってもよろしいでしょうか
Criterion®(クライテリオン)導入校 東京大学教育学部附属中等教育学校 英語科 戸上和正先生 東京大学教育学部附属中等教育学校の戸上和正先生に英語教育の取り組みやオンライン授業についてお[…]
Criterion®(クライテリオン)導入校 東京大学教育学部附属中等教育学校 英語科 戸上和正先生 東京大学教育学部附属中等教育学校の戸上和正先生に教育機関向けライティング指導ツールのCriterion®(クライ[…]
東京大学教育学部附属中等教育学校 外国語科 教諭
戸上和正先生
千葉大学教育学部卒、千葉大学大学院(教育学修士)修了。10数年私立高等学校の外国語科教諭として務めた後、現職につきました。今年で13年目です。ここ数年は探究型学習、プロジェクト型学習と協働に関する研究に勤しんでおります。また、学習者同士の相互評価から課題を導ける自律した学習者の実現に向けて、Criterionに頼りながら試行錯誤しています。英語でどんな世界を広げてあげるか。これが今の私の最大のテーマです。
東京大学教育学部附属中等教育学校
前身は1921(大正10)年創立の7年制の東京高等学校。1948年に新制中学校として編成され、その翌年に新制高等学校が発足。以来、中高一貫教育における教育研究と教育実践の連携の場として重要な役割を担う。「双生児研究」「6年一貫カリキュラムの研究」「協働的な深い学び」「卒業研究を含む総合学習」「教員・生徒・保護者が一堂に会する三者協議会」などの独特な取り組みは多くの教育研究者から注目されている。
URL:http://www.hs.p.u-tokyo.ac.jp
上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。
サポート・関連情報
Criterion®(クライテリオン)を授業に導入することで、課題管理、採点、フィードバック、ピア学習を効率的に行うことを可能にします。
TOEFL iBT®︎テスト特別受験制度
TOEFL®︎テスト日本事務局であるETS Japanでは、文部科学省より要請を受け、小学校の教員、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校及び高等専門学校の英語教員(常勤に限る)を対象にしたTOEFL iBT®︎テストの特別受験制度を設けています。
団体対象TOEFL iBT®︎テストバウチャー
TOEFL®︎テスト日本事務局では、教育機関・企業等の団体を対象にしたTOEFL iBT®︎テストバウチャーを取り扱っています。
団体がバウチャーを事前に購入、受験者にバウチャーを提供いただくことで、TOEFL iBT®︎テスト受験料の日本円での一括払いが可能になります。
団体・教育関係者向けNewsletter
ETS Japanでは、団体・教育関係者向けに新着情報メールを毎月1回の定期配信と不定期の臨時号を配信しています。定期配信の内容は、TOEFL®テスト、ETSプロダクト、ETS、ETS Japanの新着情報やセミナー・イベント情報に加えて、よくある質問の共有やTOEFL® Web Magazineの関連記事のご紹介などをお届けしています。無料で登録できますので、ぜひご活用ください。
TOEFL ITP®テストプログラムは、学校・企業等でご実施いただける団体向けTOEFL®テストプログラムです。団体の都合に合わせて試験日、会場の設定を行うことができます。全国500以上の団体、約22万人以上の方々にご利用いただいています。
英語圏の大学・機関だけでなく、世界中の大学・機関で、公式スコアとして留学や就活などに活用されています。コンピュータ上で受験し、Speakingは回答音声をマイクを通して録音、Writingはタイピングで回答します。
自宅受験TOEFL® Essentials™テスト
2021年から自宅受験型の新しいテストとしてリリースされました。約90分の試験時間、短い即答式タスクが特徴のアダプティブ方式の導入されています。公式スコアとして留学や就活などにご利用いただけます。