第20回 TOEFL ITP®テスト導入校 | 福島大学国際交流センター 何敏先生

 

 TOEFL ITP®テストペーパー版
福島大学国際交流センター 副センター長
何敏先生

福島大学国際交流センターにおける、TOEFL ITP®テストの導入や活用方法に関して伺いました。

福島大学の英語教育の取り組み

最近教えたライティングのためのショート勉強会で、「influence」、「effect」、「impact」の使い分けを取り上げたことがある。「influence」を使うのは、主に言葉などで人の考え方や行動に影響を与えた意味の文脈だと説明した。私が今行っている活動の原点に2つ「influence」的なエピソードがあると思い当たる。

一つは、二十数年前、中国上海の理科系大学で物理を専攻していた3年後期のある日のこと。高校まで英語が好きな科目であったにもかかわらず、文法も語彙も入試問題が解けなくなったことに気づき、このままではまずいと当時の英語の先生の研究室を訪ねた。文法から英語をやり直したいから教えていただけないかと相談したら、漠然とした言い方が悪かったのか、先生には教えられないとあっさり断られた。その後、社会人になって、独学を経て英語を使えるようになった。大学で学生たちに助言する立場になった今では、当時の私と同じく英語をもう一回学び直したい大学生のそのやりたい気持ちを失わせないよう心がけている。自立して英語を学習できる基礎は高校までに身に付けたはず、ならば、大学の英語教育の役割は教えるのではなく、むしろその基礎が大学の文脈の中で何の意味をもつかを考えさせ、またその上に、どのようにリテラシーとしての英語力を築き上げていけるかの道筋を示すことではないかと思う。

実践では、大学生の知的な好奇心が満たされるよう、「できる」部分が増えたという実感が得られるよう、数字の対訳の訓練や、発音やスペルの規則のワンポイントレッスンなど比較的短期間で成果を上げられるアクティビティを取り入れている。日本語による解説を行うが、訳読と一線を画した徹底的な読解訓練を通して、論理的に文脈の中で英文法を理解する演習を行う。素材となる文書は、TOEFL®テストやIELTSTMの読解問題から大学生の知的レベルにふさわしい読み応えのある内容を選ぶ。また、読解訓練と並行して、明示的に発音指導を行うことにしている。発音はリスニング力向上と語彙の増強に直結するスキルと考えているからだ。順序的に、よい文章の「どこが」よいか、「なぜ」この文法なのかが分かれば、書けるようになるし、書きたくなる。発音に自信が持てれば、書けた内容を論理的に話すことも苦にならなくなる好循環が生まれる。一方、高校までの文法もおぼつかなくなり、やり直したい学生には、高校入試の参考書(中卒レベル)を100%理解するように復習することを助言し、分からないところを徹底的に指導してから読解と発音の勉強をスタートさせる取り組みを行っている。

もう一つの「influence」に関係するが、本学ではグローバル教育の推進のため、他大学で実績のある先生を専門家として迎え、地方国立大学としての本学の交換留学を促進するための方策を提案していただいたことがある。学生の交換留学先を確保するための協定締結方針の議論の際、同先生は、「福大生には英米の大学の留学に必要なB2(CEFR)を取るのが難しいだろう。語学スコアがなくても行ける東欧などの国の大学と協定を結ぶべきだ」と主張された。当時、本学では、毎年IELTS5.5以上のスコアで英語圏に留学できたのは2、3名程度だったので、既存の協定校で枠が余るくらい十分にあった状況だったからだ。しかし、私は普段の留学相談の中で、相当数の学生が英語圏への交換留学を切望しているのを実感しているゆえ、行けるところへの妥協案には違和感を覚えた。スコアを取れるように指導することこそが交換留学を推進する側に期待されることだと気づかされ、英語指導の原動力となった。私の思いに学生も応えてくれ、昨年まで、下記の派遣者数増が見られた。

 

さらに、今年度は1年生の指導に重点を置いた。後期の集中学習により、文理両学群3名の学生が本学初めての1年生での英語圏交換留学選考合格者となった。

 

 

今年度最終の金曜日に、2名の2年生から歓喜の涙での報告があった。彼女たちから、2月初めが学内締め切りの交換留学募集に、留学先として語学要件のない東欧の協定校にすべきか、行きたい英語要件のあるドイツの大学を希望すべきかと相談を受けていた。アドバイスを参考に、2人とも3月末にスコアをクリアするという条件で選考を受けることを選択し、春休み中勉強会で猛勉強の末、結果を出してくれた。これも「influence」かと喜びをかみしめている。

 

▲ 英語圏交換留学選考合格者の学生達と

 

 

 

福島大学国際交流センター 副センター長
何敏先生

中国上海市出身。上海科学技術大学物理学部卒、福島大学人間発達文化研究科(日英言語文化領域)修了。1998年来日、(公財)福島県国際交流協会11年間勤務。法廷通訳を多数経験したほか、福島地方裁判所及び仙台高等裁判所主催法廷通訳研修会講師を務める。英検1級、IETLSTM 8.0、TOEIC®テスト(L&R)990点3回連続取得。通訳案内士国家資格(英語、中国語)を持つ。

福島大学

福島大学は、国際交流センターを中心に、学類との協力体制を構築しながら、グローバル化を推進している。令和元年度からスタートした新教育制度2019に、グローバル特修プログラムが中軸の一つに据えられている。正規の授業を充実させる(国際交流センター拠出科目)とともに、センターが課外で英語補修プログラムを開講している。
Webサイト:https://www.fukushima-u.ac.jp/

 

 


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